勝手にメディア社会論

メディア論、記号論を武器に、現代社会を社会学者の端くれが、政治経済から風俗まで分析します。テレビ・ラジオ番組、新聞記事の転載あり。(Yahoo!ブログから引っ越しました)

タグ:ディズニーリゾート

東京ディズニーリゾートでアトラクションにほとんど待たずに(長くても10分程度)乗ることができる便利なサービスにファストパスがある。ファストパスの発券所のマシンにチケットを差し込むと入場可能な時間が明示されたカード・ファストパスがもらえ、指定された時間内(1時間)にアトラクションへ向かえば良いというシステムは広く知られているところだ。ただし、一挙に複数枚を抜くことは出来ない。次の発券まではある程度の時間待たされる仕組みになっている(最長2時間程度)。また、人気のアトラクションではファストパスを抜くのに長時間待たされたり、オープン早々発券終了だったり(TDSのトイ・ストーリー・マニア!)。これもパークのリピーターならよく知っていることだ。

WDW=ファストパスをスマホからゲット

このファストパスのシステム、アメリカではもっと進んでいる。典型的なのがフロリダのウォルトディズニーワールドだ。ここにはファストパスというシステムは存在するが、発券所が存在しない。ワールド内のテーマパークでファストパスを抜きたければ、まずWDWの公式アプリ”My Disney Experience”をダウンロードする必要がある。これはパーク内のあらゆる施設をキャッシュ、クレジットカード、ルームキーなしで利用できるマジックバンド(ゲストが腕に付けるバンド。ICチップが組み込まれている)やチケットと紐付けされている。ここに明記されたIDでアプリにアサインメントしファストパスのページに入ると、数日先の分まで1日につき1つのパークに限定されるが、4つまでファストパスを登録することが出来る。とても便利なシステムだが、これはスマホ+公式アプリがなければファストパスをゲットできないということでもある(PCサイトもあり)。


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WDWのマジックバンド。これがあればファストパスの抜く必要はない。
チケットもルームキーもクレジットカードもいらない!


Disneyland CA=ファストパスはチケットに紐付けされた

WDWのファストパスのシステムはとても便利だが、これをカリフォルニアのディズニーランド(Disneyland Park,以下”DL”)にそのまま適用するのはちょっと難しい。2つのテーマパークのゲストの性質が異なるからだ。WDWのゲストはそのほとんどがWDW内のホテル(3万室ある)及び周辺のホテルに3日以上滞在し、5つのテーマパーク、二つのウォーターパーク、その他の施設を利用する。だからMy Disney Experienceとマジックバンドの組み合わせは極めて整合性が高い(つまり、ゲストはわざわざアプリをダウンロードしてまで使いたいという気になる)。

一方DLの場合、顧客は日帰り客や、年パスを所有しているパーク周辺の南カリフォルニアンが多く含まれる。たった1日の滞在でいちいちアプリをダウンロードして手続きするなんてのは、どう見ても煩雑だ。そこでDLはファストパスをより効率的かつ合理的に発券する方法を考えた。

まず、ファストパスの発券所。これは以前と同様、設置してある。ところが発券されるのはファストパスそれ自体ではなく、ファストパスのリマインダーだ。だから、ファストパスは一部のもの(ファンタズミックのファストパスなど)を除き発券後回収されない。ディズニーランド好きならファストパスのコレクションができるといった状況になる。

じゃあどうするか?これはチケットに秘密がある。チケットは入場時に配られるのだが、その際ゲストは写真の撮影が義務づけられる。写真のデータがチケットに記録されるのだ(写真はセンサーを通してしか見えない)。そしてファストパス発券所に行ってチケットを機械に挿入するのも同じ。この時、ファストパスの権利がチケットに記録される。ゲストはファストパスならぬリマインダーで入場時間を確認し、指定時刻に向かうと入り口にセンサーがあり、そこにチケットをかざすことでファストパスの権利保持者であることが確認される(だからファストパス・リマインダーの回収は必要ない)。ちなみにDLではWDWのMy Disney Experienceと同じようなファストパスサービスも用意されている。2017年7月から開始された”Disney Max Pass”がそれで、専用アプリをダウンロードすると発券所に行かなくてもファストパスをゲットできる(デザインがMy Disney Experience”にそっくり)。ただし、これは1日の利用料が10ドル。これをトクと見るかどうかは人による。

DLのファストパス、なかなかよく考えられたシステムだ。日帰りのゲスト、そしてスマホを持っていないゲスト(そんな人間はもはや皆無に等しいが)にも適用可能だからだ。

ただし、これは残念なこともある。東京ディズニーリゾートのゲストの間ではよく「ファストパスのプレゼント」といった光景が見られる。ファストパスを抜いたのはよいが、時間の都合で使えなくなってしまった場合、このファストパスの権利を放棄することになるのだが、その際、他の見知らぬゲストにプレゼントするのだ。この恩恵を受けたゲストは少なくないだろう(僕はもらったこともプレゼントしたこともある)。当然のことながら、これができなくなる。権利があくまでチケットに紐付けされているためだ(権利をプレゼントしようとするならチケットそのものをあげなければならない)。ただし、これはDL側からすればその分ファストパスの利用者が減るわけで、実際に入ろうとすゲストの待ち時間を短縮するというメリットがある。



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二つのパークを渡り歩くことが出来るチケット:パークホッパー。
ここに個人のデータが紐付けされるのでファストパスは不要になる。



東京ディズニーリゾートはカリフォルニア・ディズニーランド(DL)型のファストパスに?

東京ディズニーリゾートが新しいファストパスのシステムを導入しようとするならば、おそらくこのDL型を採用するだろう。日帰りが多いのだから。これが導入される日はそう遠いことではないだろう。また、これはディズニーランドに対する認識の違いを象徴してもいる。アメリカの場合、ディズニーランド入場者の90%以上が家族、一方、日本の場合は70%前後。そしてリピーター率は90%以上に及ぶ。リピーターのほとんどは日帰りだ。ということは、DL型のファストパスは本家DL以上にTDRには親和性が高いことになる。

DL型ファストパスの落とし穴

さて、最後にこの合理性を突き詰めたDLのファストパスだが、実は意外なところに落とし穴がある。次の写真を見てもらいたい。


これはDLのカリフォルニア・アドベンチャーで同じ日の午前中3時間あまりで抜いた、同じアトラクション(インクレディコースター=旧カリフォルニア・スクリーミング)のファストパス・リマインダーだ。計8枚だが、これは二人で抜いたものだ。なぜいっぺんにこんなにたくさん抜くことが可能だったなのか?

さらに次の写真をご覧いただこう。


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これはインクレディブルコースターが途中で停止しているところ(なんとゲストがこの高いところから下ろされている。もちろん緊急退避場所でコースターは停車するので、階段で降りることが出来るようになっているのだが。とはいっても、こりゃとっても「怖いアトラクション」だ。ちなみにこんな事態はテレビのネタにすらならない)。この後、このアトラクションはずっと停止し、結局、復旧することはなかった。

ところが、である。なるべく早く復旧することをパーク側は前提としているのでファストパスの発券は続いたのだ。

そして、ここに抜け穴がある。ファストパスのシステムでは搭乗しようとしたアトラクションが中止(キャスト用語では“101”と呼ぶ。映画”101匹わんちゃん”から採ったもので、原義は「大騒ぎ」)になった場合でも、ファストパスの権利はなくならない。このファストパスはそれ以外のアトラクションのファストパスに化けるのだ。つまりオールマイティのスーパー・ファストパスになる。実際にアトラクションに行って動かないことを発券した場合は別のこのオールマイティ・ファストパスをもらえるし、もらわなくてもアトラクションが停止していることは他のアトラクションに知らされているので、そのチケットを持っていけば、当該時間にファストパスが適用されているどのアトラクションにもファストパス待遇で乗ることができる最強のファストパスになるのだ。ここには「ご迷惑をかけたお詫び」という意味合いがある。

このサービスは世界中のディズニーランドで適用されているが、これがこのDLの新しいファストパスにも適用されている。で、僕はこの新しいシステムとファストパスのサービスの間の抜け穴を見つけた。

インクレディコースターは動かない。一般のゲストは「こりゃ動かないな?」とここのファストパスを抜くのを諦める。ただしコースターは機械的にファストパスを発券し続ける。と、いうことは……ものすごく短いスパンで次々とコースターがファストパスを発券し続けることになる。そしてインクレディコースターは相変わらず動かない。一方、こちらとしてはこのパスを次々と抜いて、他のファストパスに利用する。実際、前述したように、この日、このアトラクションは結局全く動かなかったので、僕が抜き取ったインクレディコースターは全て他のアトラクション、つまり,ザ・ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー、ミッドウエイ・マニア、ラジエター・スプリングス・レーサー、ソアリン・オーバー・ザ・ワールドのファストパスとして利用している。当のインクレディブル・コースターには一度も搭乗していない。いちいちピクサー・ピアのインクレディコースターファストパス発券所まで足を運ばなければならないのは面倒だったけれど(もしDisney Max Passを所有していれば、この手間さえ省くことができる)。



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午前中の間に同じアトラクションのファストパスが二人で8枚も抜けた!


ということで、TDRにこのシステムが導入された際には裏技になるかも?もっとも、この抜け穴も、いずれ塞がれるんだろうが。



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二週間後に訪れたら、やっぱりこのアトラクションは稼働せず。、
だが、しっかりファストパスが抜けなくなっていた。抜け穴が塞がれた?


35th Happiest Celebration開催

東京ディズニーランド(TDL)は昨日(415)から一年弱の期間で「Happiest Celebration!」と称して開園三十五周年記念イベントを開始した。すでに一般報道でもなされているように、現在TDL2020年に向けて大リニューアル中だが(トゥモローランドの一部がファンタジーランドへと変更され、美女と野獣及びベイマックスのアトラクション等が増設される)、今回のイベントはその繋ぎ、近年の入場者数頭打ちへの喝入れといった側面もあるだろう。現在、入場者数は東京ディズニーシーと併せ年間3000万人程度前後。これは人気が低迷したと言うよりもキャパシティを超えてしまったためといわれている。またディズニー=混雑というイメージが定着し、その結果、顧客満足度が大幅に低下している。だが、こうした停滞、そして顧客満足度の原因を「混雑」の一言で表現するのは少々無理があるような気もする。むしろ、それはパークの混沌にも求められるのではないか。TDLはこの二十年間でテーマパークというコンセプトがどんどん崩壊し、一般には統一したイメージを掴みづらくなっている。その状況は、いわばUSJ化。なんとももはやごった煮的で、ひたすらにディズニー印の情報がばらまかれているという状態になっているのだ。

さて、今回の目玉は新パレードのドリーミングアップとイッツ・ア・スモールワールドのリニューアル。僕は一昨日(14日)、先行のお披露目に招待され、この二つを見る機会を得たのだが、やはりこれらも混沌という言葉の文脈にあるものだった。

ごった煮のパレード・ドリーミングアップ

まず昼のパレード・ドリーミングアップ(ただし当日は夜からの招待だったので昼間のパレードが午後8時から開始された)。フロートの数は10とちょっと少ない。しかも一つおきにビッグ5などのメインキャラクターのみが乗った小さなフロートが続く。各フロートのテーマはファンタジア(ミッキー)、ふしぎの国のアリス、ピノキオ、プリンセス、美女と野獣、くまのプーさん、メリーポピンズ&ピーターパン。フロート間の関連は不明、そしてこれらフロートの間に前述したキャラクターの小さなフロートが挟まる形になっている。全体の基調を整えているのはこの小さなフロートで、すべて映画「ファンタジア」の魔法使いの弟子に登場する箒の形をしている。

キャラクターの数(着ぐるみのもの)は567程度だろうか。カリフォルニアのパレード(サウンドセイショナル)の倍以上だ。そしてフロートそれぞれについてもテーマは少々逸脱している。最も甚だしいのが最後のフロート(スポンサーのフロートの手前)で、ここではメリーポピンズとピーターパンが同居している。メリーポピンズ、バート、ペンギンといったキャラクターの後ろにピーターパンとウエンディがいるという状況。この二つをかろうじてつなぐのは設定がともにロンドンであることだけ(ビッグベンつながりと言ったところか)。
そして最後にアラジン、ジャスミン(アラジンのプリンスとプリンセス)、シンデレラのネズミ(ジャック、ガス、パーラ)、マックス(グーフィーの息子)、クラリス(チップとデールの恋人?)、クララベル・カウ、ホーレスホースカラー(1930年代に登場した牛のキャラクター)が何の脈絡もなく練り歩く。まさに混沌といった状況だ。制作側は「パレードを見る人の想像力をかき立てる」ことをねらいとしているしているらしいのだが、僕にはバックグラウンドストーリーの詰めが甘いだけにしか思えなかった。

キャラお披露目アトラクション化したイッツ・ア・スモールワールド

イッツ・ア・スモールワールドのリニューアルは、これまであった世界の子どもたちの人形の中にディズニーキャラクターを子ども化(TSUM TSUM化的なそれ)させて、あちこちに配置したことだ。アリス、ラプンツェル、メリダ、シンデレラ、リロ&スティッチ、モアナ、ピーターパンとウエンディ、三人の騎士のキャラクター(スリーアミーゴズ=ドナルド、ホセ・カリオカ、パンチータ)、ライオンキングキャラクター(シンバ、プンバァ、エド)などが登場する。このやり方はすでにカリフォルニアでも採用されていて、たとえばリロ&スティッチはほぼ同じものだが、全般的にTDLの方がディズニーキャラクターを強く押し出しいる。そのため子どもたちが世界の言葉で「小さな世界」を歌い平和や幸せを奏でるというテーマが後退し、ディズニーキャラクター萌え的なイメージが前面に現れた。事実、ゲストたちはキャラクター捜しに夢中で、もはやアトラクションの世界観にあまり関心はないようだ。ストーリーも、もうここにはない。1960年代にこのアトラクションを企画・監修したディズニーレジェンドのメアリー・ブレアやマーク・デイビス、アリス・デイビス、そしてウォルト・ディズニーがこれを見たらさぞや嘆いたことだろう。

再び求められる世界観?

そもそもディズニーランドはテーマパークであり、その世界観を見せること、その世界観を個別の物語の中で具体的に示すこと、さらにはこれらを彩る存在としてアトラクションの演出やキャラクターの存在があった。しかしTDLが推し進めているのは物語=ストーリーなき演出、キャラクターを突出させるスタイルだ。その典型が東京ディズニーシーのメインキャラクターのダッフィーだが、いわば既存のキャラクターがどんどんダッフィー化、言い換えれば「萌え要素化」しつつある。

このごった煮でカオス的な状況を推し進めるパークにかなりの人々が嫌気がさしているのではないか。ディズニーをテーマパークと捉える人々にとっては膨大な情報が脈絡無くちりばめられているパークは処理不可能なものであり、不安に陥る可能性が高いからだ。ただし、はじめからごった煮と捉えている人々(とりわDヲタと呼ばれているディズニーオタクの人々)にとっては都合のよい存在だが。そして、はじめからごった煮と捉えているのなら、実はジョーズとスパイダーマンとスヌーピーと進撃の巨人とハリーポッターが同居する究極のカオス=USJの方が、その先を行っているわけで、却ってそちらの方が魅力的なのではなかろうか。事実、USJは右肩上がりの成長を続けている。

ひょっとすると東京ディズニーランド、いやディズニーシーを含めた東京ディズニーリゾートはリニューアルしても顧客満足度を高めることが出来ず、次第に入場者数を減らす……こんなことが起こるかも知れない。もちろん、結論はリニューアルがコンプリートする2020年以降にわかるのだろうけれども。

映画の世界では数年前から4D映画というカテゴリーが登場している。ご存じ3Dはメガネをかけて立体映像を楽しむものだ。4Dは”four dimension”なわけで、名前からすればリアルワールドを超えてしまうのだが(笑)、4Dは3D技術に各種の体感が付け加えられたものを指している。4DXは風、水しぶき、香り、煙、風圧、雷、雨、泡、それにシート可動などの効果が。最近では地響き、霧、カラダへの感触、シートの突き上げが加わったMX4Dというシステムもあるらしい。

先日アメリカ・フロリダにあるウォルトディズニーワールド(以下WDW)のバックステージ(バックステージ=キャスト=スタッフのみが入り込むことのできるエリア)を覗く機会があったが、そこで4Dにまつわるちょっと面白いエピソートをキャスト=スタッフから聞くことができたので紹介したい。

最新技術の導入を志向し続けたウォルト

ウォルトがアニメ映画、そしてテーマパークを中心としたエンターテイメントビジネスの第一人者となった背景には、これらをより魅力的に見せるために、様々なテクノロジー、しかもこれまで使われてはいなかったものに次々と手をつけていったという事実がある。最もよく知られているのはミッキーマウスのアニメで、ミッキーの出世作『蒸気船ウイリー』(1928)は、アニメとしては実質的に初のトーキー(音入り映画)だった。これ以前にも、すでにトーキーは存在したが(アニメ映画初のトーキーは『なつかしのケンタッキーの家(Old Kentucky Home)』(1924年)実写映画初のトーキーは”Jazz Singer”(1927))、本作は音の映像が完全に一致し、しかもその組み合わせによって新しい表現方法を開拓していた。それが結局、後の技術のデファクト・スタンダートとなっていったことで「実質的に初のトーキーアニメ」と呼ばれるようになった。ウォルトは技術を志向し、そしてそれを世に放つときには作品に新風を吹き込む完璧なものにすることに余念が無かったのだ。

ウォルトは終生、こういった技術に対する執着が止むことがなかったが、その志向の一側面は、いわば「4D技術に向けて」と表現するのがふさわしい。歴史を辿りながら、このことを確認してみよう。

70年以上も前にアニメに4Dを取り入れようとしていた

一つ目は3D的な技術の追求について。これについては1933年に開発され、37年の二作品『風車小屋のシンフォニー』(原題”The Old Mill”)、『白雪姫』で初めて使われたマルチプレーン・カメラがある。原画と複数のセルを直接重ね合わせるのではなく距離をおいて浮かせ、真上からカメラ撮影するというもので、それぞれのセル画を上下することで微妙な立体感を作り出すことに成功している。その技術がよくわかるのは『ピノキオ』『バンビ』の冒頭シーンだ。とりわけバンビは秀逸で、森のシーンなのだが、思わず実物、あるいは3Dメガネなど不要と思いたくなるくらい見事な立体感が作り出されている。

4Dの技術に乗り出したのは1940年に上映された、セリフゼロ、クラッシック音楽に合わせて映像が流れ続ける実験的作品『ファンタジア』だ。映画館内に多数のスピーカーを配置し、それぞれ別の音を出させることで、立体音響、つまりサラウンドを可能にしようとする試みだった。この技術には「ファンタサウンド」という名称が与えられた。ただし、技術的には可能でもこの設備を映画館内に設置するには膨大な費用がかかるため、結局、ごく一部の映画館だけで、しかも3chでの立体音響になったという話は有名だ。ただし、録音は9トラックで行われていたため、戦後のリバイバル上映に当たっては立体音響が実現し、好評を博したという。また、現在販売されているDVD/Blu-rayでは、このサウンドが英語は7.1ch、日本語は5.2chで楽しむことができる。

さて、ここまでの情報は結構よく知られた話だ。しかしWDWのキャストの説明によれば『ファンタジア』制作に際しては、もう少し話が込み入ってくる。ウォルトの欲望はサウンドだけには留まらなかった。構想にはサウンドの他に、前述した4Dの技術も織り込まれていたのだ。具体的に思いついたのは風と煙。ただしこれは却下された。当時は映画館内でこれらを実現することは経費的にも技術的にも不可能だったのである。会議の席では他のスタッフから「映画館を火事にするつもりですか?」とたしなめられたという。

ただし、これくらいのことではめげないのがウォルトで、こういった4Dへの志向は映画制作を飛び越し、結局テーマパークの建設によって実現することとなる。1955年オープンのディズニーランドはこの時点ですでに蒸気で走る本物の機関車がパークを一周していた。また機械仕掛けの人形=オーディオ・アニマトロニクスという技術は音(オーディオ)、動き(アニメーション)、技術(テクノロジー)を一体化させたもので、これによって1963年、音に合わせて鳥が歌い踊るアトラクション『魅惑のチキルーム』が誕生した。現在、その最先端のひとつはWDW・マジックキングダム内のニューアトラクション”Seven Darfs Mine Train”で見ることができる。これは鉱山列車型のジェットコースターに乗って『白雪姫』の物語の一部を覗くものだが、ここに登場するこびとたちは完璧にセリフを喋る。台詞に合わせて口が「パクパク」するのでなはく、英語を「喋って」いるのだ。これはキャラクターの内側から映像をあてて動いているように見せているとの説明を受けたが、キャラクターには外側から光が燦々と浴びせられているにもかかわらず、口元はクッキリと見える。なので、説明されても実際のところ技術的にどうやっているのかサッパリ解らない。

ディズニーランドは4Dランド

4Dに向けた技術の革新はウォルトの死後も続けられ、その多くが現在ディズニーが運営するテーマパーク内で稼働している。「動き」についてはアトラクションなので言うまでもないが、それぞれのアトラクションでは熱や風、冷気、水しぶき、振動、地響き、煙、雷、まあとにかくいろんな仕掛けが登場する。パークはウォルトの4D志向の結晶したものといってよいだろう。

最後に、パーク内にある、ちょっと面白い4Dを紹介したい。それは「におい」についてものだ。ディズニーのテーマパークのアトラクションには「におい」のでてくるものがいくつかある。ハングライダーに乗ってカリフォルニアや世界の旅行体験ができる『ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド』(旧『ソアリン・オーバー・カリフォルニア』、上海ディズニーランドオープンに伴ってワールドに変更された)では森の上空で森のにおいが、旧『カリフォルニア』ではオレンジ畑でオレンジのにおいが出てくるという具合だった(もちろん、同時に風も吹いている)。またフロリダのアニマル・キングダムやアナハイムのカリフォルニア・アドベンチャーにある、昆虫の地下世界に潜り込む『イッツ・タフ・トゥー・ビー・ア・バグ』やフロリダ、エプコットにある『ジャーニー・イントゥ・イマジネーション』で放たれる「におい」は、なんと「おなら」だ。

ディズニー流、究極の4Dとは

だが、さらに究極の「におい」がある。それは、フロリダ、マジックキングダム内のメイン・ストリートUSA(TDLのワールドバザールに相当するテーマランド)にあるスターバックスがテナントとして入っているお店「メイン・ストリート・ベーカリー」にある。ここはいつも客で賑わっている。一般のスタバ同様、コーヒーの他にサンドイッチにもありつけるのだけれど、店内、そして店の前はつねに焼きたてパンの香ばしい香り=「におい」が漂っている。まあベーカリー=パン屋だからあたりまえと思ってしまうのだが、ここにはパンを焼く設備はない。あらかじめ作り終えたものを運んできて提供しているだけなのだ。パンは地下にあるユトリドールという通路を使って搬入されている。ということは、この「におい」はいったい?実はこれもまた人工的に作られた「におい」なのだ。ユトリドールの天井に「におい」を出すボンベが取り付けられ、そこから店内と店の前ににおいをばらまくという仕掛け。言い換えれば、誰もこれが偽物だとは気づいていない。で、こうなると店の前のにおいがいちいち妖しい気もしてくるわけなのだけれど(笑)、これはさすがに驚いた。究極の4Dとは、もはやそれが4Dであることがわからない世界ということになる。


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パーク内で販売されているTシャツ。ストームルーパーも西海岸=ディズニーの一員になりました。



スターウォーズで埋め尽くされたトゥモローランド

前回のブログでカリフォルニア・ディズニーランドパークのアトラクションがスターウォーズランド建設のためにあちこちでクローズになっていることをお知らせした。このことが示唆するように、ディズニーのスターウォーズへの入れ込みようはハンパではない。2012年にルーカスフィルムを買収してからというもの。とにかくスターウォーズをミッキーマウスとプリンセスに匹敵するキャラクターとしてクローズアップすることに余念がないのだ。その余波がすでにディズニーランドパーク内にも押し寄せている。

典型的なのはトゥモローランドだ。ランド内に入るともうほとんどスターウォーズ一色。12あるアトラクションのうち、スターウォーズがらみのものはStarwars Launch Bay、Star Tours, Star Wars:Path of the Jedi、Hyperspace Mountain)の四つ。ただし二つのアトラクションが休止(Disneyland Railroad,Autopia)しているので、4割がスターウォーズ絡みとなる。ちなみにStarwars Launch Bayは、いわば「スターウォーズ博物館」。チューバッカやカイロレンに遭遇できる。Star Toursは「エピソード7・フォースの覚醒」 のシーン入り。Star Wars:Path of the Jediはスターウォーズ・サガのダイジェスト映画。Hyperspace Mountainはスペースマウンテンをスターウォーズの戦闘シーンに書き換えた物。またレストラン、ギャラクティック・グリル前のステージではJedi Trainingと称して子供がジェダイになるための訓練に参加できる。お約束はダースベイダーとの一騎打ちだ。ショップもスターウォーズグッズでいっぱい。ライトセーバーは売れに売れている。通路にはストームルーパーが闊歩し、ひたすらスターウォーズの音楽がランド内に流れ続ける。要するにここはもはや「スターウォーズランド」なのだ。

で、よく見るとガイドマップも拍子がなんとチューバッカ。う~ん。

ファンの世代交代・継承を効率的に行う場所

ご存じのようにエピソード7はスターウォーズ・ファンの世代交代、次世代への継承を意図して作られている。過去の遺産を引き継ぎ、これに新しい要素を加え(ストーリーはエピソード4の焼き直しの感が強く、当然これに続く二作が制作されことになっている)、さらにお歳を召したキャラクターを隠居させた。このファンの世代交代を効率的に行う空間としてディズニーランドほど最適な場所はないということになる。ディズニーランドのコンセプトはファミリー・エンターテイメント。家族で出かけるところ。ということはスターウォーズ・サガに熱狂した親(場合によっては祖父母)が子供(孫?)をパークへ連れてきて、ミッキーではなくスターウォーズに触れさせ、帰り際にライトセーバーを買ってあげれば世代交代完了というわけだ。ルーカスは会社を売り払う際に「今後100年は『スターウォーズ』を制作し続けられるだろう」と語っているが、まさにそういうことなのだろう(ただし、ルーカス自身は制作そのものからは外されてしまったが)。

ディズニーカンパニーという巨大メディア帝国

ルーカスフィルムはディズニーに買い取られることで、よりシステマティックで膨大な費用をかけたマーケティングを開始し、確実な未来を物にしたと言えるだろう。

でも、これって、スターウォーズ氾濫同盟軍が帝国軍に降ったみたいな感じでもある。スターウォーズはディズニーのフォースの闇(超巨大なビッグビジネス?ディズニーという名のデススター?)に落ちた?(笑)。また、ファンもディズニーのビジネスの魔の手に落ち続ける?


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トゥモローランド内を闊歩(パトロール?)するストームルーパー




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ガイドマップの表紙。なんとチューバッカ!

スゴい数のアトラクションが休止中!

3月26日(米時間)カリフォルニアにあるディズニーランド・リゾートを訪れた。
ディズニーランドパークに入ってみると、ものすごく混雑している。まるでハッピーニューイヤーの時のような混み具合で、マトモに歩けない。ところが向かい側のもう一つのテーマパークであるカリフォルニア・アドベンチャーアドベンチャーに行ってみると比較的余裕を持ってパーク内を回ることが出来た。

で、実を言うと後者のパークの混み具合の方が正解。パークの方が異常なのだ。

その理由は多くのアトラクション(そしてショーやレストラン)が運営されていなかったから。
列挙してみよう。

1.ディズニーランド鉄道
2.デイビークロケットのカヌー探検
3.ファンタズミック
4.マークトウェイン・リバーボート
5.セイリングシップ・コロンビア
6.トムソーヤ島

7.ビッグサンダー・ランチBBQ(恐らく終了)
8.ビッグサンダーランチ・ジャンボリー
9.ペッティング・ファーム

10.スプラッシュマウンテン
11.キャプテンEO(終了)
12.ジャングルクルーズ
13.インディアナ・ジョーンズ・アドベンチャー
14.イッツ・ア・スモールワールド
15.オートピア(TDRのグランドサーキット・レースウェイにあたる)

なんと15!!(数え忘れを考慮すれば、もう少しあるかも?)

スターウォーズランド建設が理由なのだけれど……

最初の9つはフロンティアランドの北側にスターウォーズランドを建設(14エーカー。東京ドームの1.2倍強の広さに相当)するために1月11日を最後に運営を中止しているもの(アメリカ側の奥はすでに水を抜かれている?)。このエリアは完全に閉鎖されており空間が多少狭くなっている。そこにきてたくさんのアトラクションが中止なのでパーク外にゲストがあふれ出た状態になったわけだ(マーク・トウェイン号は乗船すること自体は可能。ジャズバンドが演奏していた)。

まあ、すでにリリースされていた内容なので、それはそれでよいとしても、ちょっと気になるのが10~15。こちらも一斉に中止となると「おいおい!」という感じではある(ちなみに、翌日スプラッシュマウンテンとインディアナジョーンズは運営)。
パークにやって来たゲストたちは、あんまり気にしていないようだけれど、これはお国柄といったところなのだろうか。もし日本でこんなにいっぺんにアトラクションを休止したらクレームだらけになるんだろうなあ。

ちなみに前述した6つは一年以上再開されないとリリースされている(7~9は完全終了)。なので、アトラクションを期待してきたわざわざ日本からやって来たゲストはがっかりするはず。

60周年記念で派手にイベントをやっているように思えるけれど、それは夜からのショーなので、出かけられる方は、そのつもりで。

まあ、それだけ大胆にディズニーランドはリニューアルされると言うことなんだけれど。

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フロンティアランド、ビッグサンダーマウンテンの先の閉鎖されたエリア。塀の向こうに造営前の土の山が見える。これ、TDRだったら、おそらく見られないだろう。




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