新型コロナウイルス蔓延という危機的な状況の中、街中でマスクを着用する人の割合が極端に増えてきた。外に出ることはめったにないが(大学のキャンパス=仕事場へ行く場合、自家用車を利用している)、買い物に出かけた時に、この変化に気づかされた。マスク着用率が増えたこと自体は危機意識が高まったことを傍証するといえるだろう。


マスクについては自らに対する直接的な恩恵は、どうやらほとんどないらしい。つまりマスクを装着しようがしまいが、感染するときは感染するという。


しかし、それでもやはりマスクの効用はある。「自らのコロナウイルスを他者にうつすことを予防する」点だ。マスクをしても自分自身には恩恵が無い。ただし、マスク着用は、社会に対しては大いに効用ありと言えるのだ。しかも、この効用が大きい。


ご存じのように新型コロナウイルスは、いわば「ステルスウイルス」だ。罹っていても症状のない人間が大多数。しかも、そのまま終わってしまうケースが大半。しかし、こうした人間は、結局、自分自身は大事に至らなくても、周囲に伝染しまくっている、しかも本人も自覚がないうちにということになる。だからStay homeで、外出の必要のある際にはマスクをしようというわけだ。


くりかえそう。マスクとは「人から菌をもらう」のではなく「人に菌を振りまかないようにする」もの。「情けは人のためならず」ならぬ「マスクは自分のためならず」なのだ。でも、これは結局、「情けは~」のことわざと同様の教訓を与えてくれる。つまりマスクは自分の防護には役に立たないが、自分が積極的に付けることによって、それが最終的に多くの人への感染を防ぐ予防措置となる。全員がマスクをすれば、感染率はグッと下がる。言い換えれば「自分がマスクをすることは、巡り巡って自分への伝染を防ぐ、さらにはウイルスを退散させることになる」。よって、マスクをすることは極めて正しい。


ところがで、ある。


僕のマンションからは近くに公園が見える(部屋が14階にあるので、見下ろせる)。で、公園を眺めてみると……結構な数の子どもたちが遊んでいるのだ。しかもマスクなしで。スーパーでもこれは同様だ。家族でやって来て(そもそも家族でやって来ること自体が間違いなのだが)、親はマスクをしているが子どもはマスクをしていないというケースが大半なのだ。「子どもは感染しても大事に至ることがほぼ無いから大丈夫」ということなんだろうか?


しかし、子どもこそ最も危険な感染源になってしまう可能性があることを肝に銘じておいた方がいい。子どもは体力的に強いから症状が出にくい。伝染していても元気に歩き回る。そして活動が活発ゆえ、歩き回る範囲は大人よりもはるかに広い。しかも社会性がまだ未発達なので空気を読めない。大人の迷惑顧みず、あっちこっちを歩き回る。これがマスクをしないで徘徊するということは……病原菌をばらまく元凶の一つとみなされても仕方がないのでは?

しかし、これは子どもの責任ではない。子どもは、散らかしたり、遊んだりするのが仕事なのだから。責任はむしろ、大人にある。だから、ここは是非とも親に言っておきたい。あなたの命のために、そして皆さんの未来のために、子どもにもマスクをさせてください、と。