東京ディズニーリゾートでアトラクションにほとんど待たずに(長くても10分程度)乗ることができる便利なサービスにファストパスがある。ファストパスの発券所のマシンにチケットを差し込むと入場可能な時間が明示されたカード・ファストパスがもらえ、指定された時間内(1時間)にアトラクションへ向かえば良いというシステムは広く知られているところだ。ただし、一挙に複数枚を抜くことは出来ない。次の発券まではある程度の時間待たされる仕組みになっている(最長2時間程度)。また、人気のアトラクションではファストパスを抜くのに長時間待たされたり、オープン早々発券終了だったり(TDSのトイ・ストーリー・マニア!)。これもパークのリピーターならよく知っていることだ。

WDW=ファストパスをスマホからゲット

このファストパスのシステム、アメリカではもっと進んでいる。典型的なのがフロリダのウォルトディズニーワールドだ。ここにはファストパスというシステムは存在するが、発券所が存在しない。ワールド内のテーマパークでファストパスを抜きたければ、まずWDWの公式アプリ”My Disney Experience”をダウンロードする必要がある。これはパーク内のあらゆる施設をキャッシュ、クレジットカード、ルームキーなしで利用できるマジックバンド(ゲストが腕に付けるバンド。ICチップが組み込まれている)やチケットと紐付けされている。ここに明記されたIDでアプリにアサインメントしファストパスのページに入ると、数日先の分まで1日につき1つのパークに限定されるが、4つまでファストパスを登録することが出来る。とても便利なシステムだが、これはスマホ+公式アプリがなければファストパスをゲットできないということでもある(PCサイトもあり)。


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WDWのマジックバンド。これがあればファストパスの抜く必要はない。
チケットもルームキーもクレジットカードもいらない!


Disneyland CA=ファストパスはチケットに紐付けされた

WDWのファストパスのシステムはとても便利だが、これをカリフォルニアのディズニーランド(Disneyland Park,以下”DL”)にそのまま適用するのはちょっと難しい。2つのテーマパークのゲストの性質が異なるからだ。WDWのゲストはそのほとんどがWDW内のホテル(3万室ある)及び周辺のホテルに3日以上滞在し、5つのテーマパーク、二つのウォーターパーク、その他の施設を利用する。だからMy Disney Experienceとマジックバンドの組み合わせは極めて整合性が高い(つまり、ゲストはわざわざアプリをダウンロードしてまで使いたいという気になる)。

一方DLの場合、顧客は日帰り客や、年パスを所有しているパーク周辺の南カリフォルニアンが多く含まれる。たった1日の滞在でいちいちアプリをダウンロードして手続きするなんてのは、どう見ても煩雑だ。そこでDLはファストパスをより効率的かつ合理的に発券する方法を考えた。

まず、ファストパスの発券所。これは以前と同様、設置してある。ところが発券されるのはファストパスそれ自体ではなく、ファストパスのリマインダーだ。だから、ファストパスは一部のもの(ファンタズミックのファストパスなど)を除き発券後回収されない。ディズニーランド好きならファストパスのコレクションができるといった状況になる。

じゃあどうするか?これはチケットに秘密がある。チケットは入場時に配られるのだが、その際ゲストは写真の撮影が義務づけられる。写真のデータがチケットに記録されるのだ(写真はセンサーを通してしか見えない)。そしてファストパス発券所に行ってチケットを機械に挿入するのも同じ。この時、ファストパスの権利がチケットに記録される。ゲストはファストパスならぬリマインダーで入場時間を確認し、指定時刻に向かうと入り口にセンサーがあり、そこにチケットをかざすことでファストパスの権利保持者であることが確認される(だからファストパス・リマインダーの回収は必要ない)。ちなみにDLではWDWのMy Disney Experienceと同じようなファストパスサービスも用意されている。2017年7月から開始された”Disney Max Pass”がそれで、専用アプリをダウンロードすると発券所に行かなくてもファストパスをゲットできる(デザインがMy Disney Experience”にそっくり)。ただし、これは1日の利用料が10ドル。これをトクと見るかどうかは人による。

DLのファストパス、なかなかよく考えられたシステムだ。日帰りのゲスト、そしてスマホを持っていないゲスト(そんな人間はもはや皆無に等しいが)にも適用可能だからだ。

ただし、これは残念なこともある。東京ディズニーリゾートのゲストの間ではよく「ファストパスのプレゼント」といった光景が見られる。ファストパスを抜いたのはよいが、時間の都合で使えなくなってしまった場合、このファストパスの権利を放棄することになるのだが、その際、他の見知らぬゲストにプレゼントするのだ。この恩恵を受けたゲストは少なくないだろう(僕はもらったこともプレゼントしたこともある)。当然のことながら、これができなくなる。権利があくまでチケットに紐付けされているためだ(権利をプレゼントしようとするならチケットそのものをあげなければならない)。ただし、これはDL側からすればその分ファストパスの利用者が減るわけで、実際に入ろうとすゲストの待ち時間を短縮するというメリットがある。



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二つのパークを渡り歩くことが出来るチケット:パークホッパー。
ここに個人のデータが紐付けされるのでファストパスは不要になる。



東京ディズニーリゾートはカリフォルニア・ディズニーランド(DL)型のファストパスに?

東京ディズニーリゾートが新しいファストパスのシステムを導入しようとするならば、おそらくこのDL型を採用するだろう。日帰りが多いのだから。これが導入される日はそう遠いことではないだろう。また、これはディズニーランドに対する認識の違いを象徴してもいる。アメリカの場合、ディズニーランド入場者の90%以上が家族、一方、日本の場合は70%前後。そしてリピーター率は90%以上に及ぶ。リピーターのほとんどは日帰りだ。ということは、DL型のファストパスは本家DL以上にTDRには親和性が高いことになる。

DL型ファストパスの落とし穴

さて、最後にこの合理性を突き詰めたDLのファストパスだが、実は意外なところに落とし穴がある。次の写真を見てもらいたい。


これはDLのカリフォルニア・アドベンチャーで同じ日の午前中3時間あまりで抜いた、同じアトラクション(インクレディコースター=旧カリフォルニア・スクリーミング)のファストパス・リマインダーだ。計8枚だが、これは二人で抜いたものだ。なぜいっぺんにこんなにたくさん抜くことが可能だったなのか?

さらに次の写真をご覧いただこう。


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これはインクレディブルコースターが途中で停止しているところ(なんとゲストがこの高いところから下ろされている。もちろん緊急退避場所でコースターは停車するので、階段で降りることが出来るようになっているのだが。とはいっても、こりゃとっても「怖いアトラクション」だ。ちなみにこんな事態はテレビのネタにすらならない)。この後、このアトラクションはずっと停止し、結局、復旧することはなかった。

ところが、である。なるべく早く復旧することをパーク側は前提としているのでファストパスの発券は続いたのだ。

そして、ここに抜け穴がある。ファストパスのシステムでは搭乗しようとしたアトラクションが中止(キャスト用語では“101”と呼ぶ。映画”101匹わんちゃん”から採ったもので、原義は「大騒ぎ」)になった場合でも、ファストパスの権利はなくならない。このファストパスはそれ以外のアトラクションのファストパスに化けるのだ。つまりオールマイティのスーパー・ファストパスになる。実際にアトラクションに行って動かないことを発券した場合は別のこのオールマイティ・ファストパスをもらえるし、もらわなくてもアトラクションが停止していることは他のアトラクションに知らされているので、そのチケットを持っていけば、当該時間にファストパスが適用されているどのアトラクションにもファストパス待遇で乗ることができる最強のファストパスになるのだ。ここには「ご迷惑をかけたお詫び」という意味合いがある。

このサービスは世界中のディズニーランドで適用されているが、これがこのDLの新しいファストパスにも適用されている。で、僕はこの新しいシステムとファストパスのサービスの間の抜け穴を見つけた。

インクレディコースターは動かない。一般のゲストは「こりゃ動かないな?」とここのファストパスを抜くのを諦める。ただしコースターは機械的にファストパスを発券し続ける。と、いうことは……ものすごく短いスパンで次々とコースターがファストパスを発券し続けることになる。そしてインクレディコースターは相変わらず動かない。一方、こちらとしてはこのパスを次々と抜いて、他のファストパスに利用する。実際、前述したように、この日、このアトラクションは結局全く動かなかったので、僕が抜き取ったインクレディコースターは全て他のアトラクション、つまり,ザ・ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー、ミッドウエイ・マニア、ラジエター・スプリングス・レーサー、ソアリン・オーバー・ザ・ワールドのファストパスとして利用している。当のインクレディブル・コースターには一度も搭乗していない。いちいちピクサー・ピアのインクレディコースターファストパス発券所まで足を運ばなければならないのは面倒だったけれど(もしDisney Max Passを所有していれば、この手間さえ省くことができる)。



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午前中の間に同じアトラクションのファストパスが二人で8枚も抜けた!


ということで、TDRにこのシステムが導入された際には裏技になるかも?もっとも、この抜け穴も、いずれ塞がれるんだろうが。



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二週間後に訪れたら、やっぱりこのアトラクションは稼働せず。、
だが、しっかりファストパスが抜けなくなっていた。抜け穴が塞がれた?