26万人の米アニメオタクがロスに集結


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ロサンゼルス、コンベンションセンターで7月1~4日にかけてアニメエキスポ2016が開催された。これは日本アニメーション振興会が主催するイベント。第一回は1992年で、この時の入場者数は1700名程度だったのだが、今回は四日間で、なんと26万人がここを訪れた。もちろん、北米最大のフェアだ。日本のアニメは今や「ジャパニメーション」と呼ばれ、世界的にも知られているところとなったが「じゃあ、実際、アメリカではどうなっているんだろう?」と、最近のアニメにはあまり詳しくない僕も、日本独自のこの文化(かつてサブカルチャーと呼ばれたそれ。もはや、とっくにメインカルチャーになっているが)がどうなっているんだろうかと、中を覗いてみることにしたのだが……いやはや、驚きました。アニメ、マンガ、ゲーム関連の企業ブースが立ち並び、シアターやホールではシンポジウムが開催され、さらにはメイドカフェ、漫喫まで準備されている。こちらの予想より遙か先を行っていました。

訪れたのは7月3日。友人の「混んでいるから早めに行った方がよい」とのアドバイスに従って午前十時過ぎには中に入ったのだけれど、すでにセンター内は大量のオタクでごった返していた。会場周辺には二万台の駐車スペースが確保されていたのだけれど、これも正午には満杯。とにかくスゴい勢いなのだ。

会場内には夥しい数の日本語表記が、そしてブースからはアニメ声優とアニソンの日本語が鳴り響く。……ところが会場にやって来たアニメオタクやブースを運営している人間からは日本語は一切聞こえない。すべて、英語。アジア系の入場者もいるが、もちろん全員が英語。そして、やはり夥しいほどの数のコスプレイヤーがいる(もちろんカメラを向ければポーズを決めてくれる)。で、残念ながら、その多くが、こちらに造詣がない自分にはなんのキャラクターか判別が付かない。うずまきナルトやルフィ、悟空、初音ミク、ジブリキャラなんてのもいるけれど、こういったメジャーキャラは完全にマイノリティ。で、あちこちに”OTAKU”というロゴが誇らしげに貼られている。


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会場はまあコミケ的なのだけれど、そこはアメリカ流、どちらかというと巨大なパーティー会場といった趣が強く、それぞれのブースで、それぞれのお気に入りキャラに入れ込んでいる。ここにもはや「物見遊山」的なムードは一切ない。もちろん、今の日本のコミケと同様、かつてのオタクの暗いイメージもない。その成熟度はジャパニメーション、アニメオタク、コスプレオタクの裾野の広がりを強く感じさせる。どうみても、ここに来ているアメリカの若者はプロパー、つまり完全なオタクなのだ(スターウォズ・R2D2の実物大リモコンを持ち込んで通路で動かしていたなんて勘違いもあったが、これはご愛敬と行ったところだろうか。多分、絶滅危惧種(笑))。

米国発のオタク文化?

実感したのは、こうしたジャパニメーションの海外進出は、もはやクレオール化していて独自の文化と化しつつあることだ。起源はもちろん日本だけれども、ローカライズされてしまっていて、もはや別の文脈で解釈、あるいはカスタマイズされている(「オタク」という言葉が”OTAKU”と表記されているのはその典型。ただしこの表記がなされたのはすでに二十年近く前になるけれど、それがさらに一般化して”OTAKU=cool”という認識が定着しているのだろう)。

その中で気になったブースを二つほど取り上げてみたい。もちろん日本のアニメ文化がローカライズされるという意味でだが。両方のブースとも結構な数の客が群がっていた。

一つはジブリキャラクターの浮世絵化?鳥獣戯画化?のブース。広重の東海道五十三次絵の世界を設定にして、ここにジブリキャラが広重風で描かれているといった趣向。下の写真は「千と千尋の神隠し」の千とハクのこれまた和風の絵。この組み合わせは思いつかなかった。


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もう一つは、なんとディズニーキャラクターを引用したモノ。ブース運営者の名称は「18+」。つまり「18禁」=成人指定の作品群で、ディズニーアニメのキャラクターがエロに描かれているのだけれど(ディズニー以外もいろいろありました)、ようするにこれは二次創作ややおいという日本の伝統とディズニーという米国の伝統の合体といったところだろうか。下の写真は『アナと雪の女王』のエルサのエロバージョン。いわば、二次創作ややおいの形式=フォルムが米国の内容=コンテンツによって拝借され、米国独自のスタイルに変貌しているといってもよいのかもしれない。


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正直なところ、これらがメイドインUSAなのかメイドインJapanなのかは解らない(ネットで調べてみたが、該当するサイトは米国のそれだった)。だから、僕の勘違いであったならばオタクのみなさんにお詫びをしなければならないけれど、これがメイドインUSAのものであったとするならば、ジャパニメーションやアニメ、マンガ、コスプレオタクの文化は、その起源である日本を離れ、独自の文化を築きつつあることになる。すくなくともアニメEXPO2016の異常なほどの賑わい、訪れるオタクの本気度から察する分には、これがメイドインJapan生まれのメイドインUSA文化と了解してもよいのでは……そう思わずにはいられなかった。

もし、こうやって文化というモノが輸出され、輸入された文化の中に流し込まれ、一般化したとするならば、実を言えばそれこそが日本文化の世界への浸透であることの証明ということになるんだろう。日本車(米国の通りは日本車がマジョリティ)、寿司→SUSHI、ラーメン→Ramenといった、もはや米国では日本を感じさせることすらなくなりつつある文化のように。(ちなみに、これら定着したメイドインJapanも、米国では、ちょっと日本のそれとは違っている)。