目的性を示すものとしてのカメラ撮影



旅行中の写真のアップデート回数について
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バックパッカーのSNSの使いこなしについてバックパッカーの聖地、タイ・バンコク・カオサンでの調査結果を報告している。今回はFacebookの利用意識の三つ目のカメラ機能の使い方についてから。

今回の調査では項目としては部分的にしか取り上げなかったが、写真の撮影についてもこういった目的性の高まりを見て取ることが出来る。既に述べたように、スマホでのカメラ機能は非常に重要視されている。だが、スマホにはカメラ機能が備わっているにもかかわらず、デジカメ(単体)はスマホ・ガイドブックと並んで旅の三種の神器ともなっている。なぜスマホの他にデジカメを持ち歩くかについては統計は取らなかったのだが、インタビューでは「デジカメはスマホのカメラ機能とは違う」という回答を多数耳にした。これはカメラの精度の問題、つまりカメラの精度を必要とするかどうかで使い分けるというもので、実際スマホとデジカメを持ち歩く旅行者の多くが比較的高額のカメラを所有していた。記録としてとっておくのがデジカメによる撮影で、SNSアップ用に撮影したりメモ代わりにするのがスマホのデジカメ機能という使い分けを行っているバックパッカーもいた。旅行中の写真のアップデート回数が「増えた」+「やや増えた」と応えた者は62.3%(「減った」+「やや減った」は27.2%)で、とりわけ「増えた」は37.6%だった。つまり、Facebookへのアクセスは減少しているのだから、これは明らかにアップデートすることを目的に撮影していることがわかる。やはり、ここでも目的性が重視されているのだ。



Facebookはコミュニケーションツール(国内)から目的ツール(海外へ)~Facebookまとめ

さて、ここまで見てきた1.Facebookの利用理由、2.「いいね!」ボタンを押す理由、3.写真のアップデート理由の調査結果をまとめて、あらためて俯瞰的に表示してみよう。次のマトリックスを見てほしい。


Facebook全般の利用意識・俯瞰


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国内から海外に移ることによって割合が下がったものは右下向きの青色の矢印で、上がったものは右上向きの赤色の矢印で示してある(「いいね!」の第4象限の「挨拶感覚」は右下向きの矢印だが、意味の問題上、赤で示してある。つまり下がった方が目的性がアップする)。これらの各象限のパーセンテージを国内、海外別に全て合計し、これを100%として、各象限の割合の増減を表示してみたのが次のグラフ=陣取り表だ。


Facebook利用のマトリックス・陣取り表
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こうやって見てみると海外では第2象限と第3象限、つまり消費性に関する軸が減少し、第1象限と第四象限、つまり目的性に関する軸が上昇していることがわかる。やはりここまで見てきたようにFacebookは旅先ではコミュニケーションツールから目的を持って利用するツールへとその意識=行動がシフトするのだ(ただし、おもしろいのはその目的が旅ではなく国内に向けられている点なのだが)。

これをもう少し細かく見てみよう。次のマトリックスは各象限のパーセンテージの増減を表したものだ。


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情報消費はそれほど減少しているわけではないが、表出コミュニケーションが減少し、情報入手と伝達コミュニケーションが上昇している。第2象限が第1象限と第4象限に分散したというわけだ。


Facebookは旅のために使うもの

そして、この目的性を傍証するものとして、ざっくりとした質問を用意しておいた。それは「旅行中のFacebook利用は旅に関するもの、それ以外のもののどちらになりますか」というものだ。その結果「旅+やや旅」が50.9%、「それ以外+ややそれ以外」が23.7%という結果だった。とりわけ明確に「旅に関するもの」という回答が39.0%あったが、これらは要するにFacebookが旅のツールとして主体的、目的的、積極的に活用されるということを意味していることになる。いいかえればFacebookはさまざまな側面で旅を活性化するツールといえるであろう。

Facebookの利用は旅に関するもの?それ以外?
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つまり旅先ではあらゆる側面で目的性が高まるが、Facebookはこれを加速させる。だがその目的性は旅先で仲間を見つけるのではなく、既存の仲間と連絡を取ったり、日本の情報をやりとりする側面に向けられる。

次回は最終回、Twitterと総括について展開したい(続く)