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滞在型ビーチリゾート、その時間のつぶし方

バリ、ペナン、プーケット、セブ……アジアのビーチリゾートには実に多くの欧州旅行者たちが訪れる。彼/彼女たちのリゾートでの基本は「何もしない」というスタイル。日本人のように、短期滞在でいろんなアトラクションに興じるのではなく、長期でとにかく日がな一日ビーチやプールサイドでのんびりするという毎日を過ごしているのだ。

もちろん、まったく何にもやっていないわけではない。彼/彼女たちはビーチチェアにもたれながら、いろんなことをやっている。新聞購読、読書、ゲーム、おしゃべり。もちろん傍らにはドリンクが。読書なら、先ずペーパーバック。ゲームならクロスワードパズル、Sudoku、ナンクロといったところ。そして耳にはイヤフォン(もちろん,その先にはiPodが)。

iPadの出現

ところが、この数年、様子がガラッと変わった。新聞も本もゲームもiPodも、そしておしゃべりさえもが減ってきたのだ。そしてその代わりとして出現したのがiPadだった。

ビーチサイド&iPadの組み合わせを初めて目撃したのは2010年の夏、タイのチャーン島でのことだった。まだリリースされて数ヶ月しかたっていないこの時期。僕も発売と同時に購入したので、リゾートに持ち込むのは僕ぐらいなのでは(だから、ちょっと自慢出来るともくろんでいた(笑))と思っていたら、さにあらず。結構な数の宿泊客が持ち込んでいたのである。

「なんで、こんなに持ってるの?」

でも,よく考えてみれば,これはあたりまえだ。新聞も、読書も,ゲームも,音楽も全てこれ一つで済ますことができるんだから。いや、それだけじゃあ、ない。この頃からビーチリゾートは部屋だけでなくプールやビーチサイドにもWi-Fi環境が整うようになり始めたので,インターネットをブラウズし、メールを書くこともできる。ビーチやプールサイドでのんびりする欧州人はほぼ一日中そこにいるのだけれど、iPadはバッテリーの持ちもよいので長々と使える(一日中,ビーチやプールサイドにいたとしてもせいぜい7~8時間なので)。

そして今年夏、やはりタイのホアヒンのビーチでのこと。状況はさらに加速していた。iPad、iPad、iPad……ビーチ&プールサイドにはiPadがたくさん。これはiPad自体の普及、そしてホテルのWi-Fi環境がさらに充実(ほとんどのホテルに設置。しかも今やWi-Fi使用料タダというところの方が多いくらいになっている)したことが影響しているだろう。iPadとかぶったメディアはさらにその数を減らしていた。

ビーチリゾートでは、まさにiPadという「第三のカテゴリー」が威力を発揮する

かつてS.ジョブズがiPad発表時にiPadをパソコンでもスマートフォンでもない第三のカテゴリーであると指摘し、さらにこういった新しいカテゴリーが成立するためには主要なタスクがこれらよりずっと優れたものにしなければならなかったと述べた。ビーチ&プールサイドでのiPad利用はこの主張を見事に反映している。パソコンだったらが重くてバッテリーが持たないし、スマートフォンだったら小さすぎて、一度に多くの文字を読みづらいし、細かい作業ができない。これらが全て解決されているのがiPadで、だからこそ1日のんびり派のリゾート客たちはiPadをチョイスしたのだ。そしてこれまでビーチ&プールサイドでやっていたことが、これだけでやっている(意外なことにKindleを見ることは少ない。Kindleは読書専門なので外のデバイスも持ち込まなければならないからなのだろう)。

あなたが欧米型の「のんびり型リゾート」派だったら、リゾートにiPadをお忘れなく。