本ブログでは、ここのところスマホやSNSについての特集が増えているのだけれど、実はこれ、この二つについて現在調査を始めているため。プロジェクトチームを立ち上げ、ゼミ生たちにもこの研究に取り組ませ、外部団体から助成資金を獲得しなんてことで、まあいろいろと調べている。

で,今回はそのアウトプットの端緒を、ちょっとだけご紹介したいと思う。ネタは「ガラケーからスマホに持ち帰ると,若者の情報行動はどう変わっていくのか」。まあ,若者といっても今のところはうちの学生の一部、つまり関東学院大学文学部現代社会学科の学生にアンケートをとってみた程度で一般性があるわけではないのだけれど。とはいっても,なかなかおもしろい結果が出たので、参考までにお伝えしておこうと思う。ちなみに、これ以降、さらにインタビューやアンケートを取り、分析を重ねていって、より一般性の高い統計を最終的に出す予定ではある。で、結論から言っておくと「ガラケーをスマホに持ち帰ると、以前より、やたらと様々な機能を使い始めるようになる」。つまり、スマホはドンドンと若者たちのメディア・ライフの中心に食い込んでいく。

さて、今回はその一回目。スマホ利用の概要についてお伝えしたい。アンケート回収数は88票。その対象は僕の講義「メディア社会論」を受講している学生たちだ。

平均を上回るスマホの所有率

まずスマホの所有率について。これは66.3%だった。正確な統計を取っていたわけではないけれど、一昨年後期、同じ講義でスマホ(当時は全てiPhone)を所有している学生に手を挙げてもらったときには100名程度の受講生のうち3名足らず。それが昨年の後期では四割近くになり、そして今回は3分の2に達しているわけで、その普及率にはめざましいものがある。平均利用歴は8ヶ月ほどだった。

OSの割合ではAndoroid=53.3%、iOS=44.3%、WindowsPhone=2.2%で、現在、市場でのシェア比率がAndroid:iOS=6:4ということを踏まえると、ややiOSが高い。またWindowsPhoneの利用者がいることにはスタッフ一同、”へーっ!いたんだ~っ”と、びっくり!

かなりたくさんの機能を使いこなしている

次に、スマホで利用している機能についてきいてみた。電話=100%、メール100%、インターネット=97.8%、音楽プレイヤー=64.4%、カメラ=91.1%、前記のものに該当しないアプリ80.0%といったところ。つまり主要な機能のほとんどが使われている。ちなみに音楽プレイヤー機能の割合が少ないのはiPodやWALKMANとの二台持ちで、音楽の方はこちらの方で使っているためらしい。この理由は、学生たちによれば1.スマホで音楽を聴いてバッテリーを消費したくない(Androidの場合は音楽プレイヤー機能でもバッテリーの消耗が激しいので音楽専用プレイヤーとの二台持ちにすることが結構多い)、2.音楽プレイヤーに慣れているので変更するのが面倒、ってところが考えられるとのこと。

スマホに切り替えると全ての利用率がアップ

ガラケーからスマホに切り替えるとそれぞれの機能の利用頻度はどうなったかについてきいてみた。で、全ての機能の利用率がアップしている。最も利用頻度が増えたのがアプリで、「以前より増えた」という回答はなんと81.9%だった。次いで頻度が増えたのがインターネットで77.3%。要するにスマホというのはインターネット&アプリマシーンということになるわけで、これが意味するところはスマホとは「ケータイ」ではなく「持ち運ぶパソコン」ということになる。また、カメラ機能については43.2%、音楽プレイヤー機能については36.3%が増えたと答えているので、こちらについても利用はかなり上向きだ。

電話についても29.5%の上昇が見られるが、これはLINEやSkypeなどの無料電話の存在があるからだろう。

一方、メールについては13.6%の増加にとどまっている。おそらくPCメール分の増加と言うことが考えられるけれど、他の機能に比べると上昇率が低いのは、メールそれ自体の利用がケータイの時代で熟成してしまっているからではないだろうか。

さて、今回はスマホ利用の概況をお伝えしてきた。次回以降、その詳細をお伝えしたい。(続く)