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LINEのスタンプ。チャットする同士が知らない間にアドリブを展開してしまう,楽しい機能だ


国産SNS・mixiの行く末について考えている。ここまでLINEの魅力をmixiと比較し、 「LINE=mixiの長所-mixiの短所+LINEの魅力」図式で示した後、それぞれについて説明してきた。今回はLINEのさらなる魅力について考えてみよう。

前回指摘しておいたLINEの魅力は「ほどよい距離がとれるSNS」であることだった。スマホとSNSが結びついたときには,双方が備える他者との密着性によって関係が過剰に濃密になるゆえ、何らかの緩衝装置を用意しないとコミュニケーションがうっとうしくなる。それを回避するためにFacebookは実名性、Twitterはつぶやきによってこれを回避している。ただし,敷居が高い。ところがLINEはぜ~んぜん敷居が低い。しかも緩衝装置がある。じゃあLINEの緩衝装置はなんだろう?

スタンプという強力な武器

その一つは,SNSについては原則タイムラインだけで構成されていることだ。つまりチャットの体裁を採っている。だから,会話はアドホック=その場その場で展開すればよく、気楽。mixiの「足あと」にあたるものは、吹き出しの下に掲示される「既読」という文字程度。だから「ねっとり」しない。

でも、これじゃあ一般のメール、いわゆるショートメールと何ら変わらない。いや,たったひとつ違うところがある。それはスタンプの存在だ。吹き出し以外に大判のスタンプがいろいろと貼り付けることができるのだ(ちなみに,今回特集で掲示したイラストもLINEのスタンプだ)。これが,ものすごくシンプルな技術で、グッと表現力を高める。しかも,ほどよい距離を保つことも可能になるというスグレモノなのだ。

他のSNSにも同様の機能はある。Facebookなら「いいね!」ボタンだ。ところが「いいね!」ボタンは1種類だけ。だから,それで表現される内容が限定される。ところがスタンプはそうではない。たくさんあるから、これでいろいろな表現が可能なのだ。いいかえればFacebookのように文字ベースに表現力を依存しなくてもいい(低リテラシーでもオッケーなのだ!)。しかもスタンプが大きい分、一般のショートメールよりも表現力が豊か,その絵のセンスも抜群だ。

スタンプのコミュニケーション緩衝装置としての表現力

そして,このスタンプが、密接に関わる人間間でほどよい距離を保つことに一役買っている。これは絵文字、顔文字と同じ働きと言っていいだろう。たとえば「あなたには本当にアタマにくる」という表現を取り上げてみよう。この文字列をそのまま送りつけたら、相互に感情的な亀裂が生じるのは自然だ。ところが「あなたには本当にアタマにくる(^_^;」とか「あなたには本当にアタマにくる(^^)」とか「 あなたには本当にアタマにくる凸(ーーメ」 と顔文字を補ったらどうだろう?明らかに言葉のニュアンスが微妙に異なってくるので表現が豊かになる。(^_^;だったら「アタマにくるけど、しょうがないやつ」、(^^)「相変わらずこちらを怒らせて楽しませてくれるよね」ってなニュアンスが生まれる。また、たとえ凸(ーーメを加えても、不思議にそのトーンはマイルドになる。つまり,絵文字は互いのコミュニケーションの密着度を適度な状態に保つ機能を備えているのだ。

軽いからオトナもオッケー

LINEのスタンプはこの絵文字の特性を大判にすることによって,絵文字の機能を大々的にフィーチャーしたものと言える。その結果、mixiのようにねっとりすることはないし、Facebookのように堅苦しくなることもない、さらにTwitterのようにヘタすると孤独なつぶやきになることもない。そして実にシンプルで簡単。スタンプのみで会話なんてこともやれる(これが,結構おもしろい。スタンプを貼り合うことでコミュニケーション遊びができるのだ。で,この遊びの要素と吹き出しの会話の要素が絡まって,アドリブ的なコミュニケーションが加速する)。こういった絶妙な位置を見事に見いだし,LINEは低コミュニケーション=低情報リテラシー層を取りこむことに成功しているというわけだ。いや、それだけじゃあ、ない。この洗練されたスタンプは成人の参入すら許容する。

というわけで最後にLINEの魅力を図式で示しておこう。つまり


LINEの魅力=mixiのお手軽さ-mixiのねっとり感+ほどよい距離を保つ機能



その一方、mixiはなんとが失地回復を図ろうと,様々な機能を付け加えたりしたのだが,それがかえってSNSとしての複雑さ(「煩雑さ」と表現した方が妥当?)を増すことになり、mixiというSNS本来の魅力が見えなくなってしまっている。つまり悪あがきの自爆状態。そこに,お気軽でお手軽で,精神的な加重の少ないLINEがどんどんと入り込んでくる。大人まで巻き込んで。そうそう,仲間とアドレスを交換するのも簡単だ。互いのスマホを近づけて「ふるふる」する、つまり同時に揺すればいいんだから。データの交換ですら、こういったお気軽さをラインは前面に出している。これこそがmixiにはない魅力なのだ。\(^O^)/

SNS普及の過渡期のメディアとして出現したmixi。だが、今やその役割を他のSNSに明け渡そうとしている。 …>_<…

ということで,やっぱりmixiの将来は、ない<m(__)m>