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川崎・矢向駅前にあるスーパー。チャリで買い物という”昔スタイル”が基本だ。



前回まではイオンモール宮崎の繁栄を例に、なぜイオンモールがウケるのかについて展開してきた。そして、その原因が消費情報=中央情報=「東京イメージ」といった図式に基づいて出来上がっていることを指摘しておいた。情報化が進めば進むほど中央の情報=消費情報の魅力が相対的にアップし、それが、メディアが流布する商品群・店舗群からなる「東京イメージ」に対する魅力をアップする。そして、そういったものを一挙に集約させて地方に出現したモール=商店街こそがイオンモールに他ならない。だからウケたのだと。

ただし、この「東京イメージ」はちょっとヘンだ。

東京には「東京イメージ」はない

僕は現在、川崎に住んでいる。そして、かつての宮崎の生活とは、その生活を一変させている。いちばん変わったのはクルマで買い物に出かけないことだ。

宮崎に暮らしている頃、僕はイオンモールにクルマで出かけ、スポーツクラブに通い、シネコンを見て、大型書店に寄り、ジャスコで買い物をして帰るという、いわば「イオンな暮らし」=「東京イメージ生活」をおくっていた。そして、クルマは「重い」とはいわないので、その都度、かなり大量の買い物をしていたように思う(ガロンタンクで水まで買っていた)。

で、現在、近くにイオンがあるのでたまに行くのだけれど、これは厳密にはイオンと言うよりジャスコと行った方が正しいだろう。そこはジャスコがあるだけ。つまりモール=商店街ではなくスーパーだからだ。ちょっと遠いのでクルマで出かけることは同じだが(近くだったら絶対にクルマで行くことはないだろう)、通う回数も格段に減ったし、普段の生活は近くのスーパーでほとんどのものを済ましている。あるいはチャリで買い物にというパターンもある。また、買い物の多くは川崎駅のラゾーナだが、そこに向かうのも、その多くはクルマでなく電車だ。そこには、イオンと同じようにブランド店や衣料店(ユニクロとか無印良品とか)があるけれど、とりたてて、そのためにそこへ向かうという意識はほとんどない。で、こっちのほうも購入の仕方と言えば、必要となればチョコチョコ買うというスタイルになった。

田舎暮らしと都会暮らしのスタイルが逆転

で、こういった認識。実は僕だけではないだろう。というか、東京や神奈川に暮らす人間の多くが、クルマよりは歩きかチャリを使って、僕みたいにちょこちょこ買い物に行くというような、昔の「田舎暮らし」みたいなことをやっている。つまり、クルマが普及していない時代のそれのような……。

そう、ここには、クルマでイオンモールへ出かけ「東京」的=都会的消費生活を謳歌するローカルエリアの人間と、歩きやチャリで昔ながらの田舎的生活をする都会の人間という”逆転現象”が生じているのだ。

ということは、イオンモールが放つ「東京イメージ」は、実は、実際の東京とは別のところに存在するもの、と考えた方がよいだろう。そう、これは消費社会化、情報化によって出来上がった、東京とはあまり関係のない、メディアが振りまく「都会」を凝縮したヴァーチャル東京イメージ。だからこそ、僕は、ここまで、これを括弧付きで「東京イメージ」と表記してきたのだ。

東京より「東京」の方が、もはやデフォルト

イオンモールに対して「あれは田舎者が都会と勘違いしている空間だよ!」と、都会の人間が上から目線でローカルエリアの人間を見下すことは簡単だ。だが、イオンモールによってこういった都会=「東京イメージ」が全国のローカルエリア各地に成立し、それが大きな力を持っているという事実は、そういった都会人の自己満足的優越感で済まされる問題ではないだろう。いいかえれば東京ではなくて「東京イメージ」の方がもはや主役になっている状態なのだから。つまり、こっちのほうがウケている。だったらこのイメージは、僕らの空間意識、情報行動様式に重大な影響を与えていると考えなければならい?そう、ぼくらは今、生活空間の認識の仕方を根本的に変えつつあると言うことなのだ。では、それは何か?(続く)