オリエンタルランド社って、何?

今回はオリエンタルランド社(以下OLC)という一企業の企業戦略について考えてみようと思う。といっても、この会社のことを知らない人もいるかもしれないので、まずちょっと紹介。OLCは東京ディズニーリゾートを運営する企業。東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、イクスピアリ、ディズニー直営のホテル(アンバサダー・ホテル、ホテル・ミラコスタ、ディズニーランドホテル)や系列のホテル(パーム&ファウンテン)などの事業を展開している。

もともとディズニーランドを日本に誘致することを目指して(本当は「沖の百万坪」と呼ばれた浦安沖の浅瀬を干拓して一儲けしようとして)、三井不動産と京成電鉄が合弁で創設されたのだけれど、ご存じのように、上に並べたような様々なリゾート事業へと手を広げることになった。

ディズニーが突きつけた高額のロイヤリティというトラウマ

で、OLCはフランチャイズ方式でウォルト・ディズニー・プロダクション(現ウォルト・ディズニー・カンパニー、以下ディズニー)からディズニーランドを誘致することを決定したのだけれど、その際、ぶち当たった難関が、ディズニー側が提示してきたロイヤリティだった。フランチャイズ方式とは、たとえばセブンイレブンなどのコンビニエンス・ストアがその典型的なシステムで、フランチャイザーである企業(この場合セブン&アイ・ホールディングス)がフランチャイジーの個人事業主(たとえばセブンをやろうとしている酒屋のオヤジ)に対してセブンイレブンの看板、ユニット、そして流通システムのすべてを使用可能にさせて店舗を営業させる代わりに、売り上げの一部を企業側に支払い続けるというものだ。その際の支払い料金のことをロイヤリティというのだけれど、ディズニー側はOLCに対して10%と言う高額なロイヤリティを、しかも50年契約で要求してきたのだ。

これでは、儲けたところで利益は期待できない。OLCはこのパーセンテージを少しでも下げられないものかと、粘り強く交渉を続けたが、ディズニー側が妥協したのは契約期間を45年に短縮することだけ。結局、OLCはこの10%という数値を泣く泣く受け入れることになった。

しかし、オープンしてみると、こりは杞憂に過ぎないことが明らかになる。予想外の入場者数で東京ディズニーランドは盛況となり、ロイヤリティを易々とクリアしてしまう売り上げを記録したからだ。この結果に、ディズニー側は東京ディズニーランドを直営にしておくべきだったと地団駄を踏んだほどだった(ちなみに、ディズニーはこの失敗を踏まえ、ディズニーランド・パリ(当初名はユーロ・ディズニー)をオープンする際には、これを直営にしたのだが、こちらの方は赤字経営という、これまた裏目の結果となっている)。

とはいうものの、このロイヤリティが高額であることに変わりはない。そこでOLCは常に、このディズニーのロイヤリティという呪縛=トラウマから逃れることを課題とする事業展開を指向していくことになるのだが……。そして、これがディズニーシーやダッフィといった、ちょっと変わった、独自の展開を生んでいくことになっていく。では、OLCのだつディズニーはどう展開してきたのか?(続く)