レベル低下は果てしなく:中二レベル未満の傍証

さて、前回はいまどきの学生、僕が教鞭を執る有名下位大学だと、英語については五文系やsomeとanyの使い分けが出来ないという事実をお伝えしておいた。もっとも、これは中三レベル。まあ、よしとしよう。で、じゃあ中二レベルはどうか?というjことになるのだが、これまたあやしくなってくる。やっぱり僕のゼミ生なのだけれど、ほとんどの学生が発音記号がわからなかったのだ。これって、中二で学ぶレベルなんだけど。

落胆するのは、これで終わらない。というのも、ついには、その未達成レベルが中一にまで英語力は達するからだ。それは、次のような英作文から判明する。

出題:以下の日本語を英作文しなさい。
「あなたはペンを持っていますか。はい」

学生の回答に複数見られた回答をまとめると

Are you have pen? Yes. I have.

となる。

一般動詞haveなら、疑問文は冒頭にbe動詞(この場合はare)ではなく助動詞Doでなければならない。それに対する肯定は、当然、助動詞のdoだ。(中学校ではdoやhaveが一般動詞と助動詞の二つがあるのに(もちろん他にも代動詞とかあるが)、これを区別して教えていないために、こういった混同が起こる。doがwillやcanと同じ仲間であることわかっていない)。ちなみにpenもおかしい。不定冠詞 a、定冠詞the、複数形のsのどれかがついていないとpenという単語は成立しない(もっとも、意味が伝わらないと言うこともないが。ネイティブはだいたいは行間を読んでくれるので。かつて山田邦子のギャグのなかに、飛行機の中で飲み物を注文されたときに ”I am orange juice”というメチャクチャな返答をすると言うモノがあったが、実用レベルでは、ヘンテコであっても、これでも十分通用する。これを理解できないネイティブがいたら、よっぽとアタマが固いといわなければならない)。
ということでやたらと間違いだらけになるのだけれど、問題なのは「あなたはペンを持っていますか。はい」という英作文の文法は全て中一レベルの学習内容なのだ。……ということは、僕の大学の学生の英語力レベルは中一並ということになってしまうのだが。

中高六年間をかけて、ほとんど何もやっていないっていうのは、いったい?

日本の教育では大学に進学するまでに(現在進学率は五十パーセントを超えた)六年間に渡り英語を教えている。それでは足りないというので、今度は小学校に英語教育を導入しようという話が進んでいるが、こういう英語力を前提に考えれば幼稚園から英語教育は導入しなければならない。つまり幼稚園三年間、小学校六年間としてトータル十五年間かけて英語を教えなければ、大学生の英語レベルはあがらないと言うことになるが……。

いや、そういうことではないだろう。六年間もかけて英語を教えながらレベルが上がらないというのは、日本人が消費生活ボケ、平和ぼけでバカになったか、あるいは教え方が根本的に間違っているか、どちらかと考えるべきなのだ。で、僕は当然のことながら後者の問題と捉えている(まあ、前者の要因もないとは言えないかもしれないけれど)。実際、こういったとんでもない英語力の僕の教え子たちにしても、最初っから、つまり中学一年から英語をちゃんとやり直すと一年くらいで高校生くらい、つまり英検二級に届くか届かないかくらいのレベルにもっていくことはできるのだから(実際、英語教員志望の学生たちを対象に中学英語を学ぶという教室を開いたことがあったが、学生たちのほとんどは、この期間で、このレベルに達し、そしてそのほとんどが、現在、中学校で英語の教鞭を振るっている)。

で、英語教育にまつわる、このレベル低下の問題。よくよく考えてみれば、実は英語のみに限られた話ではないのではないか。つまり、あらゆる科目がレベル低下していて、英語はたんにそれを象徴するに過ぎないのではないか?

そう、学生たち、生徒たちがバカになったのではない。教える側がバカになったのだ。ということで、次回は、現代の教育における問題点について深~く考えてみたいと思う。(続く)