iMacも結局はパソコン・ユーザーにとっての魅力を喚起しただけ

iPadがコンピューターマニア、ビジネスユーザーだけでなく、パソコンに疎い層に食い込む可能性について考えている。

さて、iPadはまさにこの”Think Different”(違った視点から考えよう)と”The Computer For the Rest of Us”(私たちの中の残された者・部分ためのコンピューター)というアップルのコンセプトの延長上にあるもの、いや、さらにこの理念をドラスティックに一歩前進したものと捉えられるのではなかろうか。そして、それこそが今回の特集で僕が取り上げたいと思っていることなのだ。

98年、iMacは確かに既存のパソコン・ユーザー以外の購買層を掘り起こすことに成功した。しかし、そのインターフェイスは結局のところ”パソコン”というカテゴリーの域を出てはいない。キーボード、マウスがあり、ソフトウエアを購入してインストールするという点ではウインドウズもマックも変わるところはないからだ。だから”The Computer For the Rest of Us”を必要とする利用者層の掘り起こしは限定的なものに留まった。そして、もはやいうまでもないが、こうやって取り残されたのが高齢者、子供、そしてパソコン操作があまり好きではない女性層だった。そして、今回これを取り込もうとしているのがiPadということになる。

iPadこそ”Computer For the Rest of Us”

さて、今回の特集の冒頭に示した高齢者にとってのiPad(僕の母も含めて)を考えてみよう。実に操作が簡単で、そして結局、一般の人間がパソコンでやりたいことのほとんどがこれですんでしまう。いや、それだけじゃあない。ピンチ・イン、つまり親指ともうひとつの指を使ってディスプレイを押し広げたり、タップしたりすれば画面は自動的に拡大するわけで、これだったら老眼鏡を使用しなくてもディスプレイを見ることが出来る。ようするにコンピューターの操作方法がぐっと一般向けにすり寄ったかたちがiPadなのだ。(続く)