実は音楽産業はサブスクリプション・サービスに参入した方が儲かる

もし、 “アップルのiTunes Storeが定額聴き放題サービスをはじめたら”という前提で考察をすすめている。

独立変数がiPod、つまりiPodとiTunesを前提として音楽業界が動くということがデフォルトになれば、音楽産業は、これを取り込む方法しか商売の仕方はない。そこで俄然、注目を浴びてくるのが、実はITMSによるサブスクリプション・サービスの開始なのだ。前述したように、iTuneStoreでストリーミングサービスのみなら月額1000円、ダウンロードサービスを含めた婆合い2000円という価格設定をしたとしよう。これにiPodユーザーを4000万人、このうちの4割程度がサブスクリプションのダウンロードサービスに加入すると想定すると2000円×1600万で月額320億の売上高が見込めることになる。これを年間の売り上げに換算すれば3840億となる。一方、現在の音楽ソフトの売り上げが3500億程度。この資産なら売り上げだけでもサブスクリプションに転じた方が利益は出る。

いや、サブスクリプション・サービスの場合、配信すればよいだけなのでハード、つまりCDやレコードのような物理的媒体を必要としない。これらを製造するコストはゼロになる。つまりインフラも大幅に少なくなる。だから当然、このサービスから得られる純利益はCDを販売するより効率がよい。つまり,営業利益はサブスクリプション・サービスにした方がはるかに儲かるのである。

著作権も守られる

さらに、ここでCDの普及によって悩まされていた著作権の問題がクリアされるのも利益の平等分配という点から有利だ。

まずiPodの方だが、ITMSからダウンロードされたものはコピーの回数が決められている(FairPlay(DRM=デジタル著作権管理)技術によって制限されている)。だから数十台のマシンへと言うのは無理。ダウンロードした楽曲を友達に次々とコピーさせるというわけには行かないのだが、これを踏襲すればよい。

しかし,これ以上にコピーを防止する手段がある。ユーザー=リスナーがコピーする意欲を殺いでしまえばいいのだ。それがサブスクリプション・サービスの料金を定額、そして低料金に抑えてしまうこのなのだ。定額サービスは前述したように払っている気がしなくなる「タダ感覚」涵養するので、ユーザーはレンタル店や友人・知人からディスクを借りるより、こちらの方が手間がかからなくていいという感覚になり、当然こっちを選ぶ。これによってコピーするという行為への志向性が失われるというわけだ(だから前述したようにTSUTAYAはCDレンタルを縮小、閉鎖する)。

と、こんなふうに考えても、サブスクリプション・サービスを音楽流通手段にしてしまった方が儲かるのである。しかも月極なので音楽産業としては収入も安定した状態で確保できる。そして,収入が安定していると言うことは,事業展開も健全になる。だからこそ、どんどんこういったシステムに移行すべきだと僕は考えるのだ。(続く)