子供の遊園地?

ミッキーマウスやドナルド、プーさんがいる遊園地、ディズニーランド。おとぎ話のアトラクションがいっぱい。絶叫マシンもあるけれども、他の遊園地と比べれば実にマイルドなつくり。実際、スペース・マウンテンやビッグサンダー・マウンテンの最高スピードは40キロくらいしかない。本格的な絶叫を楽しみたければ富士急ハイランドに行ってドドンパとかFUJIYAMAとかに乗ればいい?

というわけで、ディズニーランドは子供の遊園地?と思いきや、実は入場者=ゲストのほとんどは大人、しかもカップルというのが多い。リピーターもしかりで、大人の方が多い。というのも、ディズニーランドはテーマパーク。そのテーマ性を徹底的に突き詰めることで、大人の鑑賞にも堪える「子供だまし」ならぬ「大人だまし」の遊園地になっているからだ。

アメリカでは?

と、ここまで書いてきたのが日本にある東京ディズニーランドへの、一般的な位置づけだろう。実際、今年、東京ディズニーシーでは「大人のディズニー」という名の下、黒木瞳をイメージキャラクターに成人層を優遇するキャンペーンを展開したほど。開園26年目を迎えディズニーランドの顧客層も一巡し、かつて若者だったゲストも子供を連れ、そして子供が成長して今度は友人と連れ立ってくるという”大人の遊園地”としての機能をすっかり定着したわけだ。

一方、本家のアメリカはどうだろう?実は、これが全然というか、全くといっていいほど「子供の遊園地」なのだ。それは年齢層の構成が物語っている。子供の比率が東京ディズニーランドに比べると圧倒的に高いのだ。というよりも、ほとんどが家族連れ。しかも子どもたちの年齢はだいたい十代前半まで。

聖地ディズニーランド

社会学者の能登路雅子は『ディズニーランドという聖地』(岩波新書)の中で、その表題どおり、ディズニーランドがアメリカ人にとって聖地であることを指摘している。日本人ならさしずめ日光東照宮とか伊勢神宮と行った位置づけになるらしい。それは言い換えれば、アメリカ人として生まれたならば一回は行っておくべき場所と言うことでもある。その一回とは?子供の頃に親に連れられて行く一回ということになる。一生に一度の楽しみとして子どもたちが目指すべき場所。それがディズニーランドなのだ。

じゃあ、もう少し年齢が行くとどうなるのか?十代半ばともなると、もはやディズニーは子供っぽくてつまらない。一方で、年齢相応のもっと大人向けの遊園地を望むようになる。それはユニバーサル・スタジオであったり、あるいはディズニーランドより遙かに強烈な絶叫を楽しめるジェットコースターランドであったり。

しかし、二つの国でのディズニーランドの位置づけの違いは、なぜ起きたのだろうか?(続く)