有吉の芸のレベルは?

有吉の芸人としてのレベルは前回上げた四段階のうちのレベル2と3の間にあたりにある。まず、次々とネタを繰り出すというところはレベル2。このネタをつなげる技術はレベル3にやっと届いたかどうかというところ。だから小ネタの連打と言うことになる。ただし、有吉のおもしろいのは、小ネタと小ネタの間に微妙にだが関連が見えるところだ。たとえば小ネタの三段オチみたいなことは、下手だが、できる。もっとも下手なので、ハズすことも結構多い。もうすこしはっきり言ってしまえば、要するに文章にすることがまだまだ下手なので、そのつなぎがぎこちない。アドリブといったところにまではなかなかなっていないのだ。仇名付けにしても、実は結構ワンパターン。やたらと「クソ」と「野郎」が多い。仇名自体は純粋に単語の羅列なのだが、結局、有吉は命名して、それでおわりなのだ。もし、これを島田紳助がやっていたら、なぜそういう仇名に命名するかを、延々説明して笑いを取るだろう(実際、羞恥心がそうだった)。有吉にはこれをする芸が、今のところはない。

モノマネも同様で、これは典型的な小ネタの連打。たとえば阿部寛だったら、ひたすら「阿部です!」というオチの小ネタで引っ張る。実はいくつかははずしているのだが、最後に「阿部です!」とやれば、ごまかしが効く。これは哀川翔にしても桃井かおりにしてもおなじだ(芸を冷静に見ていると、結構笑えないところを見つけることが出来る)。

ということは芸人としては未知数というか、そこいらへんの若手芸人(レベル2)と同じ程度ということになる。要するに素人芸の域を出ていない。だから、この分析の枠組みで考えた場合、有吉の芸は△どころか×、いずれ消える(再び消える)芸人と言うことになる。

ところが、有吉はこれだけでは終わらない。実は、有吉を支えるもう一つのおもしろさを、われわれはそこに見ている。そしてそれは、実は有吉自身が想定してさえいない、つまり気づいてさえいない部分でもある。それは何か?(続く)