非日常から日常へ~リピーター率の増加

かつてはディズニーランドの理念=ウォルトのコンセプトに威厳を感じ、忠実に従っていたゲスト。ところが様子はディズニーランドがカジュアル化することによってその様子は次第に変わっていく。これは東京ディズニーランドが日本人に定着、浸透していくこと、海外旅行がカジュアル化していくことで発生した必然的事態だった。

立地条件の良さ~周辺に客が5000万人!

まず前者について。83年のオープン当時の年間入場者数は1000万人ちょうど。これはパークを運営するギリギリの数だったので、その行く末が案じられたりもしたが(当時キャストだった僕も、あまりのガラガラさに「こりゃ、ヤバイかな?」と思ってしまったことがあるくらいだった)、その後、順調に入場者数を増やし、現在では2パーク併せて年間2700万人もの人間が訪れる、つまり数字の上では毎年日本人五人に一人が訪れるという国民的文化施設となった。

そして、この入場者数を助長したのがリピーターの存在、そしてさらにそれを煽る年間パスポートの登場だった。

リピーターが多数現れるのは、ディズニーの情報の濃密さがやみつきになったためというのは言うまでもないが、もう一つは東京ディズニーランドの立地的条件によるところが多い。関東圏、つまりディズニーランドから100キロ圏に5000万人以上(日本の人口の約五割)が暮らしているので、簡単に訪れることが出来るのだ。東京駅という交通のハブから15分というのも大きい。これは他のディズニーランドと大きく異なるところ。たとえば本家のディズニーランド。アメリカ人にとっては能登路雅子が指摘するようにここは「聖地」。日本人が一生に一回、日光や伊勢神宮に行かなければならないと思っているように一度は訪れるところ。ただし、リピートするという感覚はあまりないし、パークの周辺に五千万人もの人間が暮らしているわけではない。だからリピーターの方がまれなのだ。(続く)