消費のフロンティアとして

そして、もう一つはメディアを媒介として消費活動を行い、社会イメージを形成するということを積極的にはじめた若者第一世代であったということ。彼らはマンガに興じ、若者向けの音楽に耳を傾け、ファッションに関心を持った第1号。地域共同体の因襲に従ったのではなく、メディアの提示する消費戦略に乗った、つまりネガティブに言いかえるなら、乗せられた初めての若者。そしてすでに指摘したように「ヤング」という若者イメージをメディアを介して形成した、あるいはさせられた世代なのだ。

こういったメディア媒介的な思考様式、行動様式の形成は、様々な分野にも波及している。例えば結婚。団塊世代のとき恋愛結婚が見合い結婚の割合を凌駕した。つまり、男女の関わりもまたメディアが媒介した「男と女は愛し合ったものどうしが結婚するもの」というディスクールをきちんと踏襲したわけだ。

そして、これらのメディアを介した行動は、すべて消費行動と結びついていた。さらにこの消費行動は、必要に駆られてではなく、差異化や、シミュラークルとして、つまり、提示されたイメージに近づくために行われたものだ。そう、繰り返すが「ヤングになること」これが、彼らに掲げられた命題だった。

良くも悪くも消費世代のはじまり

要は、団塊の世代とは、良きにつけ悪しきにつけ全ての行動・思考が消費と関わるというライフスタイル、そう、われわれ日本人全てが現代において身につけているこの様式を、最初に本格的にはじめた連中だったのだ。いうならば「戦後日本人の心性のOSを形成した世代」、それが団塊世代をもっとも的確に言い当てた表現ではなかろうか。

その団塊が、もう六十になろうとしている。それは言いかえればミーイズム=身勝手世代が60歳から下の人間全てに該当する時代と言うことなのだが……。