報道番組はクールでなければならない

さて、こうやって考えてみると報道ナマ番組の魅力がどこにあるのかわかる。プログラムの進行自体は視聴者にプログラム全体のフレイムを理解させるためワンパターン=ホットだが、その中で展開されるトピックはナマやアバウトなもの=クールにして、視聴者の参加を喚起する。つまり、報道は視聴者に「何が起きているんだろう」というクールな心性を喚起することが魅力の中心なのだ。言いかえれば、だからこそ全体的なアバウト感を失ってはいけない。そしてそのアバウトな場面をアドリブを放り込むことによって、よりクールさを強調すると同時に、視聴者をアドリブパターンに慣れさせることで親密性を喚起する。さらにこの親密性は次のネタへの期待のための苗床となっていく。コメンテーターだったら「この馴染みのおっちゃん、次には何を言うんだろう?」となるわけだ。最終的にこの親密性-クール循環の喚起に成功すればリピーターを獲得、それが視聴率に繋がることになる。クールとホットの往還がナマの報道番組の魅力なのだ。

そしてコメンテーターの役割は

そして報道ナマ番組の中で、このホットとクールの往還の橋渡しをするのが、おそらくコメンテーターの役割だろう。コメンテーターは、先ず報道された出来事=データをコメントで集約して複雑性を縮減し、それだけでは視聴者にとってクールな情報=そのままではわからず解釈を加えなければならない出来事、をホットなもの=了解可能なものに変換する。だからこそ、視聴者が容易に理解可能なよう、ワンフレーズ・キャッチコピーを先ず振り、ついでそのコピーを解説することが大切になる(ホットに徹する必要上、これはつとめてワンパターンでなければならない)。

また、その後、ギャグやダジャレを飛ばしたり、問題定義を投げかけて(「私はこのように思いますが、皆さんはどうお考えになるんでしょうか」と視聴者に問いかけた。ちなみに、これは小倉智昭、そのパクリ)、今度は視聴者の側をクールにさせる。思わずニンマリさせたり、次に何をやるんだろうと期待させたり、考えさせたりするのだ。(続く)