では、文系低偏差値人間は絶望的か?

と、こうなると文系低偏差値の人間は絶望的、ということになってしまうのだが……。いやいや、そんなことはない。もし、ココまで説明してきた「頭の構造」が生得的なものだったら、そりゃ、もちろん絶望的だ。ところが、この理系アタマ、文系アタマというのは必ずしも先天的というわけでもない。得てして後天的、つまりその個人が置かれた環境が、こういう状況を作る可能性がかなり高いのだ。

僕が、こんなことを主張するのはそれなりに根拠がある。何のことはない、僕が面倒を見ている学生の連中だ。ウチの大学は、国公立大学の偏差値からすると最下位レベル。だから、ど~みても偏差値は低い。ところが、である。ウチの学生、鍛えれば処理能力が急激にアップするのが結構いるのだ。これって、要するにそれまで理系アタマが開発されていなかったと言うことになる。

そう、自分が文系低偏差値大学に入ってしまったからと言って、自らを卑下する必要はない。単に開発されていない可能性がかなり高いのだ。ちなみ、こりゃあくまでも印象だが、ウチの大学の学生の内、七割くらいはこれに該当していると思う(ということは、三割は完全に絶望的なのだが……)。

ということは、この開発されていない「理系アタマ」を鍛えれば、とりあえず「兵隊」になることができるわけで。で、これが獲得できれば、ひょっとしてクリエイティブな「文系アタマ」が炸裂して「使える人間」になるということも考えられるわけだ(もちろん、今度は文系アタマがないということがわかって、単なる兵隊止まりということもハッキリしてしまうのだが)。そう、じゃあ、先ず必要なのは「理系アタマの養成」ということになる。これは、どうやればいいんだろうか。

理系アタマ養成ギブスをつけよ

簡単だ、理系アタマ養成ギブスをつければよい。って、言ったって星飛雄馬の大リーグボール養成ギブスじゃ全然、効果なしだろうし、オウムのヘットギアみたいなギプスじゃヤバイし(もちろんこれも効果なし)。理系アタマ養成ギプスは何か?もちろん、そんな機械はない。そうじゃなくて、これはノウハウだ。これを一言で表せば「バカ正直、思考停止学習」ということになる。まずはわかりやすいように英語を例にとって説明しよう。

「バカ正直、思考停止学習」とは

英語の偏差値55以下の人間がこの偏差を70近くまでに上げるためにやるべきこと。それは「バカ正直」に原点に戻ることだ。「原点」とは……中学英語をやることに他ならない。とにかく中学校の教科書とか、問題集を買ってくる(説明つきのものがいい。ちなみに今回は「教科書による学習」の説明は省略する)。まず最初にやるのは一番簡単なヤツだ。つまらんが、やる。で、それが9割り以上できているようなら、ちょっと難しい中学校の問題集をやる。でそれが9割になったら、さらに難しい中学校の問題集を。で、それが……という具合にグレードを上げていき、最後に中学の英語の問題集のいちばん難しいヤツにまでたどり着く。難関私立高校受験用みたいなヤツだ。これが9割できたら、同じレベルの難しい高校受験問題集を片っ端からやる。ただし、次第に一日一冊仕上げるというスピードにまで揚げていく。ちなみにこのスピード感がないと、はっきり言って、アキる。要は、ノリでやらないといけない。

で、これができたら、おめでとうございます。今度は高校へご入学だ。後は同じことを繰り返す。高校生用の一番簡単そうなヤツを次に選ぼう。ちなみに、この簡単そうな問題集をやってみると驚くべきことが起こる。ほとんどすべてができてしまっているはずだからだ。難関高校受験用の問題集というのは高校受験レベルの内容をすっかり超えていて、過去完了とか分詞構文、同格、倒置、省略とかがヘーキで出てくる。だから、ちゃんとやってれば、高校1~2年の問題集を解くことなど、簡単この上ないということに気づくはずだ。そうなっていない場合は、中学の問題集をちゃんとやってこなかったということの証明になる。かなりのスピードが出てきて結構、キモチイイってな感じになり、ノリノリになっていたら、それが実力がついた証拠となる。

禁物なのは「文系アタマ」

で、この時、問題となるのが、勝手な判断をしないということ。つまり「発音問題なんてのは受験には関係ないからなあ。発音記号はど~でもいい」とか「五文型なんかも関係ないよな」とか、アホな判断を下すことを決してしないことだ。こういう判断こそが理系的な「思考停止」をやめさせ、マヌケな文系的「思考稼働」の状態。これこそ自分なりに勝手な判断をしてしまう「アホ」な文系アタマのなせるワザなのだ。ちなみに発音も五文型も英語にはチョー重要である。というより、この二つが実は、文法で一番重要といえないこともないくらいなのだ(オマケをつければアクセントも)。とくに偏差値の低いヤツは文型分けができない。われわれは日本人なのでネイティブみたいに感覚的に英語がわかるなんてことは、さしあたりありえない。だから文法、とりわけ文型で文章を腑分けしていくしかない。そのことがわかっていないわけなのね。だからココは「思考停止」させ、「バカ正直」にやる。

で、結局これを繰り返していって、最終的に大学受験の問題集のどこのレベルにまで到達できるかが、あなたの英語偏差値のレベルということになるのだ。(続く)