宮崎駅西口の再開発が市のテコ入れで決定した。駅西口の駐車場スペースに十六階建てと五階建ての商業ビルを建設し、駅周辺の再活性化を図ろうとするのが狙いだ。今回は、この先行きについてちょっと占ってみたい。

遼雲祭の復活

手前味噌で恐縮だが、僕の務めている宮崎公立大では11月3~4の二日間、「凌雲祭」という名前の大学祭が開かれた。実は、三年前まで入場者数がじり貧だったのが、二年前から突然、増えたのだ。それはちょっとした工夫がきっかけだった。

学祭は、学生たちのイベントと一般市民のフリーマーケットが同時に開催される。で、それまで校舎を分断し、この二つを別々に展開していたものを校舎の前でいっしょに開催することにした。やったことはこれだけ。ところが、これが思いもしない効果を発揮することに。

二つのイベントは、合体したことで交流が起きたのだ。フリマにきた人たちはついでに学祭のイベントに加わり、学祭を楽しんでいる人たちも、合間にフリマを覗く。フリマを開いている市民と学祭の運営している学生たちの間にも交流が。開催スペースこそ小さくなったが、参加者たちはこの賑わいの楽しさ、催しの豊富さで、滞在時間が長くなり、それまであまり目を向けられることもなかったステージイベントにも積極的に参加するようになっていった。そして、通りを歩いている人までが覗きに入るという「呼び水」効果も加わり、結果として、全体の集客アップに繋がった。なんとそれまでの倍もの集客があったのだ。

イベントを単に集約しただけでは、商店街の再活性化は難しい

さて、宮崎駅西口の再開発もこれと同じ発想といえるだろう。鉄道駅、バスターミナル、駐車場、商業ビル、専門学校。バラバラだったこれらを一カ所に集めることで、情報の密度を高め、ニーズを喚起しようというわけだ。

ただし、これだけで人が集まるかどうかは微妙だ。宮崎での主要交通はクルマ。このどこでもドアがあれば、いろんなところへ行くことができるわけで、そういった意味では、宮崎駅西口は、行ける場所のたかが一つにすぎない。バスや鉄道は、もはや「死んでいる」に等しい。だから集客力としては期待薄なのだ。つまり交通ニーズと、単なる商業施設だけでは弱いのである。

ポイントはリピーターを作ること

では必要なのは何なのか。それは学祭がもっているもう一つの要素、つまりワンアンドオンリーで、その賑わいに人々がワクワクし、立ち寄ってみたくなる魅力、の存在だ。しかもこちらの場合は「何度も」という条件がつく。学祭というのは年に一度の「お祭り」。だから頻繁にやってくるリピーターを想定する必要はない。一方、宮崎西口には、このリピートしたくなる何かが必要なのであり、これがない限り、クルマの方向をこちらに向けてくれることはないだろう。

宮崎駅西口の活性化。どんな強烈な個性、魅力を放つことが出来るかが、そのカギとなるのではないか。