「放置プレイ」が崩壊を招いたATARI

東国原ブランド=東国原シールを、許可制でなく「放置プレイ」的に、業者に勝手に貼らせて売ったら最終的にはどうなるか。ちょっと商品は変わるが、その顛末を暗示させてくれる典型的な例を挙げてみたい。

みなさんはATARIという企業をご存じだろうか。今日のDSやWiilにつながるビデオゲームを制作し、これをビジネスに結びつけた最初のメーカーだ。70年代後半から80年代前半にかけてアタリは家庭用ビデオゲームの販売に成功し、Atari2600というゲームハードは最終的に出荷台数1400万台を超える大ヒットとなる。

ところがATARIは82年のクリスマス商戦で大失敗をする。原因はソフトウエアの粗製濫造にあった。ATARIはさらに市場を拡大しようとソフトウエアラインナップの充実を図ろうとした。ソフトをたくさん買ってくれると言うことは、そのソフトで遊ぶためのハードが必要。だからソフトの種類は多い方がよい、というわけである。そしてソフトはサードパーティ、つまりATARI社以外の企業が制作していた。ところが一攫千金をねらうソフトウエアハウスは「とにかく適当にゲームを作れば儲かる」とばかり、次々とソフトの制作し市場に送り込む。そしてこういったソフトの市場参入をATARIは一切管理することがなかった。つまり「放置プレイ」である。ところがこの金儲け第一主義が仇となっていく。大量に出回ったソフトはまさに「粗製濫造」、そのほとんどが現在言うところの「クソゲー」、つまりどうしようもなく出来の悪い(あるいは良すぎて誰もついて来られない)ゲームだったのだ。しかも現在のように新作ゲームのレビューをするような雑誌がそんなにあるわけでもなく、ユーザーはゲームを買ってやり始めないことにはその出来がわからない。で、買っても買ってもクソゲーに当たるということになり、うんざりしたユーザーは結局、ATARIから遠ざかっていった。(そして、その市場をその後、そっくりかっさらっていったのが翌年登場した任天堂のファミリーコンピュータだった。ファミコンは遊べるゲームソフトウェアを徹底管理し、ブレイクする)。ATARIブランドは崩壊したのである。

東国原ブランドの崩壊?

さて、今回の「ウナギ偽装、東国原シールつき」問題だが、このATARIのたどったのと同じ路を踏むことになる可能性がある。つまり東国原知事の「放置プレイ」はクソゲーならぬ、「クソ宮崎商品」を大量に全国中にまきちらし、その結果「みやざき産品にロクなものナシ」と言うことになり、その結果として、現在全国的に注目の的でである「東国原ブランド」が崩壊するということが考えられるのだ。しかも今回は少々タチが悪い。というのも、今回偽装疑惑で指摘されている商品は、これら「東国原ブランド」を管理しようとして立ち上がった大森うたえもんが経営する”びっきょ”が作成したシールが貼られていたものだったからだ。偽装疑惑の商品の認定については「シール添付を希望した企業と面接の上、決定した」とのこと。つまり、管理しようとしていた。いいかえれば他の東国原キャラクターより信用のおけるシールであったはずなのだが、それが問題を起こしてしまった。問題は深刻だ。

東国原ブランドは転換期に来ている

とはいうものの東国原ブランドはもはや全国中で知れ渡っている記号でもある。僕も県外に出かけるときには、おみやげに東国原シールの付いた商品を購入することが多いのだが、間違いなく喜ばれる。宮崎空港でも、いわば”東国原ブランドコーナー”が設けられていて、商品は飛ぶように売れているが、お客がこれをまとめ買いしておみやげにするのは、この話題性にある。

しかし、である。もう、そろそろよいのではないか?ここまでブランド認知がなされたのだから。僕が心配するのは、もうそろそろブランドも飽和状態に来ているということ、さらに広げた場合、こんどは弊害の方が広がる可能性が大きくなることとが懸念されることだ。そして、今回の事件が、その端緒ではないか。

かといって東国原ブランドはもうやめろ!というわけではない。これは宮崎の重要な資源として活用しなければならない。言い換えればこれまでは「放置プレイ」でブランドの市場拡大、つまり量的な拡大を成し遂げてきた。だが、今回のような問題が生じ始めている。ならば東国原ブランドは戦略の転換を行わなければならない時期に来ているといいたいのだ。

そこで提案したい。これからはATARI式「放置プレイ」でなく任天堂式「徹底管理プレイ」で質的向上を図るべきであると。つまり、現在山ほどあるミッキーマウス=東国原キャラクターは一つに統一して管理しなさいということだ。そして県産品として県外に販売すべき価値のあるもののみに、このシール添付を許可する認定方式を採る。そしてフランスのレストランガイド・ミシュランのように、一定期間で逐次、商品を評価し場合によってはシールの認定が受けられなくなるようなものにする(まあミシュランほど厳しくする必要は全くないが)。そうすることで東国原ブランドという、品質保証を受けた宮崎ブランドが全国的に認知されることになるだろう。そして、これを民間ではなく、県が主体となって行う。そうすれば管理もしっかりとできるだろう。そう、こういったことはもはや県がやるべきことなのだ。そのほうがハクもつく。

とりあえず、これが僕が考える宮崎産品を普及させるために東国原ブランドを活用する方法だ。ただし、もしこれを知事がやるとするならば、大森うたえもんからシールを取り上げなければならないのだけれど。ど~する、知事?