ディズニー・シー=ディズニーで育った大人になった人間のためのテーマパーク

ディズニーランドがオープンして16年目の99年、東京ディズニー・シーがオープンした。時代は、こういったディズニー第二世代(第一世代は六十年代前半に日本テレビでテレビ番組「ディズニーランド」を視聴し、文部省推薦マークが付いたディズニー映画を見に行った1950年代半ばに誕生した世代。第二世代は東京ディズニーランドを経験している1970年代半ば以降の世代とする)が担うようになっており、そういった大人・親になったディズニー信者のための新しいテーマパークが用意されたのだ。ディズニー・シーはウォルトが怒りかねない掟破りを犯している。それはアルコールのおおっぴらな販売だ。ディズニーランドでは厳禁されていたアルコールを飲める。ディズニーランドと同じ環境で酔っぱらってもいい?なんで、こんな裏切り者みたいなテーマパークが作られているのか。

説明の必要もないだろう。ディズニーランド第二世代たちは、もはや大人。すっかりディズニー教に入っている人間たち。ディズニーの精神=ディズニーリテラシーはすっかり浸透している。だから、たとえパーク内でお酒を飲んで酔っぱらったとしても、パーク内で暴れるとかのその場の空気を台無しにするようなことをしない。つまり、ディズニーイズムを裏切るようなことは決してしないように、この十数年の間に規律訓練されているからだ。恋人たちがレストランで酒を傾けながら、妻と夫が二人で晩酌をしながら、家族でテーブルを囲むときちなは親は酒を飲みながら、ディズニーの会話に花が咲く、なんてのが一般化しているのだがら、これと同じシチュエーションがパーク内にあってもいいはず。それを具現化したのが東京ディズニー・シーなのだ。

ディズニー・シーはディズニーランド以上に、大人向けのアトラクション、レストラン、そして環境が用意されている。食べ物はおしなべて美味だ(とりわけテーブルレストランは雰囲気も含めて、オススメだ。しかも値段も手頃)。大人のデートにはもってこいなのだ。

実をいうと、ディズニー・シーは子どもには結構不評。でも、それでいいのである。ディズニー第二世代の、大人になった子どもたちが、これを「夢と魔法の王国」として楽しむのだから。そして現在、ディズニーランドほど楽しくないと思っている子どもたちにとっても、いずれはここがお酒の飲める大好きな場所になる。こう考えると東京ディズニーリゾートはパークの運用についてもシステムが出来上がっていると言える。子ども時代=東京ディズニーランド、大人時代=東京ディズニーシー、このサイクルでディズニー詣では延々に続くのだ。(続く)