ピーターパン

飽きることのない秀逸なストーリー展開は同一

ピーターパンというアトラクションは、そのストーリー性でディズニーランドのアトラクション中ベストともいえるべきもの。ピノキオや白雪姫、ロジャーラビットのカトゥーン・スピンといったアトラクションが次第に飽きられていくのとは対照的に、いつまでたっても高い人気を維持する、いやむしろ年々人気が高まるというのが、そのことを証明している。つまり、このアトラクションはリピーターを作り出す力を持っているのだ。自分もこれは大のお気に入り。何度見ても飽きることはない。ただし、東京ディズニーランドの場合、自分と同じようなゲストが年々増加した結果、列は年々長くなり、長時間待たされることになってしまっている。フロリダやパリはFAST PASSに設定されているので、日本も一日も早くFAST PASS化してもらいたいもんなんだが……
さて、ピーターパンはだいたいどこも同じなので、今回、実はとりたてて期待していなかったのだが……大間違いでした。ここのピーターパンは違います。そして完成度はさらに上を行く。

==== さらに日本の上を行くストーリー演出====
日本のものと比較してその違いを示そう。まずダーリング家のナース・ルーム(子ども部屋)。ダーリング氏とママの写真、それにナナの親?かナナの肖像画(写真?マンガなので判別不能)が飾ってあったりと、細かいところに気配りが見られる。ちなみにフィギアはちょっとバタ臭いというか、作りの丁寧さに欠ける。次のロンドン上空でのフライング。ロンドン・タウンは明らかに大きめ。ただし町がちょっと平面的で、立体感は日本の方が上。続いてロンドン上空を月を真正面に見ながら上昇し始め上り詰めると、月の右側に二つの☆が見え、当然のことながら右から二番目が点滅している。

次いでライドは突然左折すると降下を始める。その先に真正面に見えるのはネバーランド。これがすごい!ネバーランドは小さめなのだがその周りにおびただしい数の星が立体的にちりばめられている。要するに星空上空からネバーランドを一周回って鳥瞰するという格好になる。これはとっても幻想的だ。秀逸!

さてネバーランドを過ぎると船は降下、先には縄を縛られたタイガー・リリーが。で、降りきって再び左折するとフックの船が。ここからの展開は日本のものとだいたい同じ。帆の前方でフックとの対決シーン。半回転して後方では勝利を祝うシーン(ただしここでのウエンディの弟・ジョンのめがねはなんか牛乳瓶の底みたいで、イケてません。)ライドはさらに降下、左折すると例のフック船長と時計ワニのダンスと救出に向かうミスタースミーが。

日本だとこれで終わりなのだが、ロスはまだおわらない。船は観音開きの扉(滝の中をくぐり抜けるイメージになっていて魅せる)が開くと、左手にはなんと人魚たちが。彼女たちは上空を見上げている。その先にあるのはPixie dustで金色に染まり上空を飛んでいる海賊船。そう、ロンドンに向かうピーターパン一行を下から眺めている格好になっているのだ。

ティンカーベルはアメリカ人の隠れた人気Nov.1キャラ?

というわけで、このストーリーラインと演出は日本のものよりもう二枚くらい上を行く。日本でピーターパン空の旅にハマっている人間なら、これは何回も乗ってしまうだろう。ただし、こちらも問題はある。日本同様FAST PASSが適用されていないのだ。これはすごく困る。というのも、このアトラクション、ものすごく混むのだ。それはアメリカ人にとってピーターパンはディズニー作品の中で特別な位置づけがされていることによるのだろう。
アメリカ人にとってディズニーキャラクターの中でミッキーマウスに次いで知名度が高いのは、ドナルドダックでもミニーマウスでもなく、ひょっとしたらティンカーベルではなかろうか。ティンカーベルはピーターパンにのみ登場する、声を持たないキャラクターなのだが、ティンクはピーターパンの中でピーターの相手役をする役所のほかに、ディズニーではもう一つの役割を担わされているからだ。それはいわばディズニー世界のホステス的役割。ディズニー作品は必ず眠れる森の美女のキャッスルにティンクが舞うところから始まる。テレビ番組Disneylandでもこれは同じだった。いやそれどころではない。テレビ番組では上映する作品のはじめにウォルト本人(この場合は「ウォルトおじさん」といったほうがふさわしいのだが)の秘書、ホスト役として登場してもいる。要するにトレードマークなのだ。映画の始まりのウォルトディズニーピクチャーのロゴでも登場することは、いうまでもない。

だから子どもにも大人にもティンカーベルはディズニーの記号・象徴的存在としてすっかり定着しているのだ。映画「ピーターパン2」の中で母親になったウエンディが戦時下、空襲警報のさなか、防空壕の中で息子のダニーにピーターパンのお話を聞かせるシーンが出てくるが、お話のなかでティンカーベルが登場する瞬間、ダニーは先を制して「ティンカーベル!」しかもアクセントを「ティ」に置いて叫ぶ。

これと同じ状況をアメリカでは何度経験したことか。スクリーンにティンクが登場したとき、ファンタズミックでウォータースクリーンに登場したとき、リメンバー……ドリームズ・カム;トゥルーでキャッスル上空に登場したとき。子どもは必ず右手でティンクを指さしながら、アクセントを前に置いて「ティンカーベル」と叫ぶのだ。

またピーターパン自体も人気だ。この作品は元々はイギリスのジェームス・バリーによるもの。しかし、彼らにとってピーターパンとはディズニーのそれだ。時計ワニのチクタク音を聞くとカイゼル髭がチクタク動いて恐怖感におそわれるフック。ピーターとフックの海賊洗浄での対決。これらの名シーンは子どもたち、いや親たちにもすっかりイメージがすり込まれている。ちなみにロスのファンタズミックはこのシーンをクローズアップしている。アメリカ川で行われるのだがコロンビア号を海賊船に仕立ててこれら対決を再現しているのだ。

アトラクション・ピーターパンはすべてFAST PASS化すべき

ようするにピーターパンというのはアメリカ人にとってストーリー的にも特別な位置にあるといえる。そういったイメージを具現している場所、それがこのピーターパンというアトラクション。混むのは当然なのだ。だからこそ声を大にして言いたい。一日も早く、これはFAST PASS化しろと。ちなみにこのアトラクションのライドは日本と同じスタイル。だから二人で二度乗って座席を左右交換するのがいい。ちなみにいろいろとよく見えるのは右側の席。