企業が実施している新卒採用に向け活動の一つにインターンシップがある。これは、企業が自らの職場を利用してリクルート学生に一定期間、特定の職業経験を積ませるもの。米国では二十世紀初頭から始められていたが、わが国での本格的な導入は90年代後半から。近年では60%近くの企業がこの制度を採用している。
インターンシップはリクルート学生、企業双方にメリットがある。学生側は大学在籍時に実社会の経験が積め、また志望する職種・企業とのマッチングを図ることが出来る。企業側は学生の適性を見ると共に、学生との関係構築が可能だ。インターンシップは、いわば「お見合い」なのだ。
しかしながらこのお見合い、あまり功を奏していない。2000年代以降の新規学卒者の三年以内離職率が平均33%にまで達しているのです。言い換えれば、マトモに機能していないということになる。
この原因の一つは制度の形骸化にある。インターンシップといっても、1日だけの「説明会」でしかないものが多いのが現状なのだ。これは政府が本制度実施を企業に指導したことに対するアリバイ的な対応だろう。こんなことをやっている企業、はっきりいってお里が知れている。目先のことしか考えていないのは明かだ。
むしろ企業は本格的なインターンシップを実施した方がメリットを得られるはずだ。これが本当の「お見合い」ならば、互いをじっくりと観察することが出来、そこから相互のミスマッチを減らすことが可能になる。それによって入社した社員は企業に愛社精神を抱き、長期にわたり献身的に働いてくれるようになるわけで、結果として企業のクオリティ自体を高められるのだ。要は「企業は人なり」。長期的な経営視点に立つならばインターンシップの充実ほど有意義なものはないことを、そろそろ企業を自覚すべきだろう。リクルート産業に丸投げみたいなことをやっているようでは、企業の人材確保はおぼつかないのだから。