限定販売のヴァイツェン。要冷蔵なので、あまり出回っていないがネットで購入可能。要チェック!
銀河高原ビールをはじめとする地ビールの凋落と銀河高原ビールの生き残りについて考えている。最後に、日本のビール業界の中で銀河高原ビール、そして沢内銀河高原ホテルはこれからどういったスタンスをとればよいのかを考えてみたい。
銀河高原ビールの売り方:ビール界のベンツ、BMWをめざす!
前回のおしまいで指摘しておいたように、銀河高原ビールはその味が日本の食文化とは合わない。だからスーパードライのようなメジャービールに対抗できるようには決してなることはできない。言い換えれば、それは銀河高原ビールがフォローできる市場が極めて小さいということを意味している。で、僕はそんな立ち位置にある銀河高原ビールには、だからこそ次のような売り方がよいのではないかと考えている。
サントリーはプレミアム・ビールを「ご褒美」「ごちそう」「お祝い」といったイメージで売り込んでいる。いわば”ハレの日のビール”というわけだ。で、銀河高原ビールはこれよりもっと上、つまりスーパープレミアムビール。価格もちょっと高い。だったら「究極のご褒美ビール」とか「本当に味のわかる人のためのビール」とか「気取りたいとき飲むビール」といった、さらに上を行くイメージで売るのがよいのではないだろうか(ビヤたんで飲むなんてのは、もってのほか。ピルスナーグラスで)。ただし、こうするとプレモルよりもっと市場は狭くなるが、この狭さをきちんと維持すれば、それでいい。それはベンツやBMWのシェアが小さいのと同じこと。つまり、限定されているからこそ、より輝くビールとなるわけで、そういった「素性のよさ」を堂々と個性として売り出せばいいわけだ。
沢内銀河高原ホテルもニッチで
さて、最後に今回冒頭にあげておいた、銀河高原ビールを製造している沢内銀河高原ホテルに話を戻そう。説明しておいたように、事業清算の後、銀河高原ホテルも東日本ホテルグループの傘下となり、なかなかキビシイ営業を強いられている。施設は縮小するわ、トナカイは死ぬわ、従業員も削減されるわ。ビールもかつてはフラスコ瓶のデカいヤツが売られていたけれど、いまは缶と瓶(スターボトル)のみ。掃除の従業員が朝、朝食会場で目玉焼きを焼いてたなんてことになっていた。
しかし、それでも凄くがんばっているのはよくわかった。そんなに大きな施設ではないのに毎日イベントやっているし、料理も地物がいっぱい。前沢牛入りソーセージ(当然ながらビールにピッタリ)、厚焼き燻製ベーコン、湯田牛乳、湯田ヨーグルト、凍だいこんの煮付け(ホテルの軒に大根がいっぱい干してあるのが提供されている。ウマい)。
そして何よりウレシイのは、やっぱり、ここでしか飲めない生のビール。白、ヴァイツェン、ペールエール、スタウト(スタウトは缶や瓶でも販売していない)の「とって出し」をいただけるわけなんだけど……これがやっぱり最高だ。こういったワン・アンド・オンリーをもっと前面に押し出していくべきだ。
気になることもひとつあった。それは部屋にテレビが据え付けられたこと。以前は大自然の中に宿泊してもらう、つまり大自然での宿泊を堪能してもらうことを考え、テレビを設置しなかったのだが……これはよろしくない。ちなみにここでは、現在ネットの接続もない(だから宿泊当日は、ブログを一日お休みしました)。SoftBankももちろん圏外だ。でも、これでいい、いやこれがいいと思う。ホテルの方も、このコンセプトを徹底的に貫いて欲しい。そうすれば、そのコンセプトに惚れ込んだ宿泊客がリピーターになるはずだ。だからテレビは、やっぱり、外そう。
こちらのホテルの方もビール同様、大衆に阿るのではなく、プライドと品位を保ってもらい「わざわざやってくる」というニッチなリピーターをつかまえてもらえばと僕は願っている。さしあたり「大自然の中で究極のビールを味わえるホテル」というイメージを徹底的に押し進めるというのがいいんじゃないんだろうか。
いずれにしても大衆に媚びる必要など、全くないのだ。
また飲もう、そしてまた行こう!銀河高原