ショーがどんどん無くなり、パレードに
次にショーについて。まず、すぐさまわかることはショーそれ自体の数が減少していることだ。かつてたとえばイッツ・ア・スモールワールドの前にはスモールワールド・ステージ、トゥモウロウランド・テラスの中にもトゥモウロウランド・ステージがあった。ラッキー・ナゲット・カフェにもステージがありウエスタンを演奏、シンデレラ城の裏ではキャッスル・ハプニングされていた。パーク内がこういったショーでいい雰囲気だったのだが、これらが全て撤廃されている(ちなみにキャッスル前のショーも大幅に削減されている)。アトモスフィアとしてのショーはもはやバンドとバイシクルピアノぐらいになってしまった。またプラザレストランの前にあるプラザパビリオン・スタンドは今や子ども向けのショーがもっぱら行われ、お茶を濁している(ここは夕方になるとジャズのビッグバンドが登場していた)。これらは集客能力上問題ありと考えたのだろう。代わって、設置されたのが集客量が多いパレードだ。この時もプラザを一周するパレードとしてジュビレーション、ゴー・ゴー・ヴィランズ、エレクトリカル・パレード・ドリーム・ライツ、花火のドリームス、さらにバンザイ・ヴィランズと、とにかくパレードが目白押し。しかし、である。これはある意味パークの風情を極端に削ぐ催しでもある。とにかくパレードルートにはおびただしい数のゲストがシートを敷いて並ぶのだが、この光景が午後からずっと続くのである。しかも、このパレードもチキ・ルーム同様とにかく物量を増やしてストーリーを一切無視するというような、ウォルトが見たら怒りそうな展開。Dreamsの花火の展開などは、ただただドンパチやっているだけというもの(しかもディズニーシーと同時に同じものをやるので、花火の数は半分で済む)。とにかく風情はどんどんなくなっていった。しかし、最もヒドイものとして取り上げたいのが、このうちのバンザイ・ヴィランズだ
踊らせてゴマカす「バンザイ、ヴィランズ」
これはディズニーの悪役たちを主役としたパレード。ただし、悪役だらけなので「これは拒否すべき」という演出で、パレードが始まる前に、パレードルートにあらかじめキャストがやってきて、ヴィランたちの要求に「ダメ、ダメ」「無理、無理」などというメッセージを振り付けつきで指導。本番では途中から悪役たちのフロートにドナルドなどの善玉キャラが登場し、ゲストといっしょにヴィランに拒否を突きつける。で、このパターン。つまり、途中でゲストを踊りに参加させるというやり方が初めて組まれたのは、僕が知っているところでは90年代前半、アドベンチャーランド・ステージ(現在のニューオーリーンズ・シアター)で行われたフェスタ・トロピカールあたりからだ。その後、このパターンは定番化し、今ではミニー・オー・ミニーでも行われている。しかし、このやり方は全体の演出があって、そのオマケとしてついている分には余興として買えるのだが、バンザイ・ヴィランズではこれがショーのメインとなる。つまり、ネタがない、ストーリー仕立ての演出がないので、ゲストを踊らせて時間を稼ごうという仕組みだ。だから、ダンスを一切しない人間が見たら、これは極端に手を抜いたものに見える。第一、これくらいでゲストが喜ぶと考えているところが、はっきり言って客をなめているとしか思えない(もっとも後述するが、今のゲストは残念ながら、これで十分満足する)。(続く)