勝手にメディア社会論

メディア論、記号論を武器に、現代社会を社会学者の端くれが、政治経済から風俗まで分析します。テレビ・ラジオ番組、新聞記事の転載あり。(Yahoo!ブログから引っ越しました)

2006年04月

ゴールデン・ドリームズ

完璧なまでのストーリー展開

カリフォルニアの歴史と精神性を紹介した映画。というと東京ディズニーランドにあった日本の歴史を紹介したアトラクション、ミート・ザ・ワールドをイメージしたくなるが、これは全く持って似て非なるものだ。まず、こちらにはオーディオ・アニマトロニクスはないし、カルーセル型の会場もない単なるシアター。しかしながら、その作品の質はとんでもなく高い。話自体はカリフォルニアにやってきた様々な文化・国の人々の夢やこの土地にかける思いが現在をカリフォルニアを作り上げたというごくごくシンプルなものなのだが、構成がうまく感動させられる。

三万年前の西海岸で暮らす原住民の暮らしから始まり、スペイン人の移住、ゴールドラッシュ、大陸横断鉄道敷設のために一万五千人もの中国人が働き多くが死んでいったこと、コロラドからの水路を造り大量の水の供給が可能になったこと、東側からよりよい生活を求めて人々が車に家財を乗せて西をめざしたこと、日本人のピクチャーブライド、戦時中、夫が戦役に出たため妻が造船ブームでわくロサンゼルスで溶接工として家計をたてていた話、戦後の郊外型生活の反映、メキシコ移民の農民たちの苦労、六十年代のヒッピー文化、七十年代のパーソナル・コンピュータの開発と話は続く。

圧巻のウーピー・ゴールドバーグ

このアトラクションの魅力は、なんといってもウーピー・ゴールドバーグの役所と彼女を中心にした展開だ。とにかくウーピーの存在は圧倒的。

ウーピーはストーリーの進行役。彼女はカリフォルニアの神=天の声としてナレーションをつとめるが、エピソードのそこかしこに登場し、登場人物に奇跡を起こしたりアドバイスしたりする。ゴールドラッシュでなかなか金を見つけられず腐っている男の後ろに現れ「ほら、そこに輝くものがあるわよ(Something shining)」とつぶやくと、男は川の中に金塊を発見する。ピクチャーブライド(写真お見合いだけで結婚を決意し日本からアメリカへ嫁いでいく。かつて工藤夕貴が同名のアメリカ映画に主演したことがある)でロサンゼルス港に到着し、実際と写真とはかけ離れた老齢の男に連れられて港を出ると、日本人を敵視している男たちにトマトを投げつけられ泣き出す。するとここでもまたウーピーが登場「強く生きるのよ(Be Strong)」と励ます。船の溶接作業のつらさ、夫のいない悲しさに、作業中思わず泣き出す妻に「そんなに長く続くことはないわ?(It would not be long)とねぎらう。またハリウッドの始まりではMGMの会長、メイヤーがオズの魔法使いの企画を撮影所で話していると衣装担当がやってきてドロシーの服と靴のデザインをみせる。その時、靴はシルバーにしたとメイヤーはプレスに説明する。するとウーピーが後ろに現れて「銀もいいけど、ピンクがもっといい(Silver is good,but pink is better)と後ろからささやき靴はピンクになる(これは明らかにカラー映画の到来を象徴させるシーンだ)などなど。

おもしろいのはパソコンが開発された瞬間(これはコンピュータテクノロジーで長けていることを示すメッセージ)。大学のキャンパスの庭で二人の男が学生を集めてパーソナルコンピュータをお披露目する。集まった学生を前に二人の内の一人が「これでわれわれはいろんなことができるんだ」とひげ面の男が大手を広げる派手なアクションで説明している。すると後ろにウーピーがまた現れる。だが、この時彼女は一言もセリフをいわない。そのかわり、右手に握ったリンゴを一口かじるのだ。この瞬間、会場にはちょっと笑いがこぼれた。このリンゴはアップル・コンピュータ、そして二人がスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックであることをベタに示していたからだ。

そして最後に「カリフォルニアにはこれまでさまざまなところから様々な人々がよりよい生活や夢を求めてやってきて、その夢を現実にして今日のカリフォルニアを作り上げてきたの。そして今度は、あなた、あなたがこの夢を現実にする番なのよ。(And you, you keep those dreams alive)」と客席に向かって指を指しながらささやきかける。

この一連の台詞と演技でウーピーは完全にカリフォルニアの神を演じきってしまっている。自分はアメリカ人でも、ましてやカリフォルニア人でもないが、なんかすごくその気にさせられてしまった。ただ、話はここで終わらない。このメッセージの後テーマソングが流れ、カリフォルニアを築いた人間が次から次へと登場する。マリリンモンロー、ジョン・ウエイン、ニクソン、ロバート・ケネディ、レーガン、カーペンターズ、ブルース・リー、ジェームス・ディーンジャッキー・ロビンソン、スティーブ・ジョブス、キング婦人……次から次へと有名人が登場、最後にミシェル・クワン、タイガー・ウッズで締められる。

カリフォルニアは有名人だらけ

興味深いのはメキシコ・オリンピックの男子陸上競技200メートル競技で二人の黒人アメリカ選手、トミー・;スミスとジョン・カルロスが金と銅をそれぞれ獲得したにもかかわらず、表彰台では星条旗を見上げず下を向きながら腕を高く突き上げ人種差別に抗議したときの映像も含まれていたこと。彼らはその後、アメリカ陸上界から追放されたのだが、これもまたこの作品の中では肯定的なもの、カリフォルニア的なものとして取り上げられているのだ。

というわけで感動的なウーピーのセリフの後で感動的な影像が次々と出てくるわけで、結構泣かせます。

ソアリン・オーバー・カリフォルニア

再現されるヴァーチャルリアリティ空間

現在、ディズニーが備えているアトラクションの中で最高のテクノロジーを駆使していると想定されるアトラクション。パラグライダーにのってカリフォルニアの大自然を飛び回るというのがテーマ設定。本当に浮遊しているかのようなバーチャルリアリティーが再現されている。

仕掛けはこうだ。十人がけ程度のクレーンが二列三段あり、これを上映の際に釣り上げる。クレーンのイスはブランコ敷きで、座ると脚がぶらぶらになる。アトラクション開始前、前には巨大なドーム型(直径28メートル!)のスクリーン(お椀のフタ状)が立てかけてあるのが見える。開始とともに辺りは真っ暗。クレーンが引き上げられ、スクリーンの真ん前、いや半円球の中に少し入った位置までつり上げられる。すると突然、画面いっぱいに雲の中が映し出される。つまりIMAXシアターのように視界一杯に画面があらわれるのだ。いや半円級の中であるため、IMAXよりも完全に画面にゲストは包まれる。これで完全に上空に置かれているという状況がつくり出される。さらにクレーンが上下前後左右に少しずつゆらゆらと動き、浮遊感を高めると同時に、パラグライダーであることを示すために前方から風がながれてくる。それに加えて、川の前では川のにおいが、オレンジ畑の上空のではオレンジのにおいが漂ってくる。ロサンゼルスブリッジ、川、雪山、海、ゴルフ場、サーフィンが行われている海岸、渓谷、渓谷を右から左へ抜ける三機のジェット戦闘機、空母上空、ロサンゼルス高層ビル夜景ときて、最後にクリスマス中のディズニーランドへ到着。ティンカーベルが現れpixie dustを振りまくと、キャッスルの背後から花火が。その中にパラグライダーは突入。ショーは終了する。

乗れば乗るほど、味が出る

実に単純。景色を映すだけ。カリフォルニアの景色を紹介するだけでストーリー的なつながりはない。映画効果でいうパラレリズム(前と次のシーンに無理矢理関係を持たせるために同じかたちやものを使う。例えばピーターパンでウエンディがロンドンに戻ってくるとき、最後に海賊船がビッグベンを向けると、その時計盤が大写しになって鐘が鳴るがその丸い時計が、次のカットではダーリング家一階階段下の柱時計の時計盤になる、というような効果)でつないでいるだけなのだが、カリフォルニアの雄大な風景のイメージはよく伝わってくる。難点はちょっとカット一つ一つが短すぎて、一階見ただけではめまぐるしくてビックリするだけになってしまうところ。何回も乗るとジワッと味が出てくる。ちなみに今回は四回乗りました。

ケイシーズ・サーカス・トレイン

ウォルトの鉄道趣味が見事に反映された傑作

六両編成のミニトレインに乗って、ディズニーの物語のいくつかのシーンのミニチュアを見て回るアトラクション。アトラクション名はダンボのサーカス一行が移動する際の列車から付けられている。一回につき二十人強が乗車できる。

アラジン・サルタンの宮殿とアグラバーの町、ピーターパン・ロンドンのハイドパーク、ピノキオ・ゼペットじいさんの住む町、眠れる森の美女の城などを見て回る。このアトラクションの特徴はミニトレインにもかかわらず、スピードが結構速いこと、コースに起伏があること、景観が富んでいることにある。山越えをしたり、石橋をくぐったり、トンネルを抜けたり、橋を渡ったりなどなど。これら要素が合わさることで、なんと列車旅行独特の雰囲気、つまり「旅情」が味わえる。これは本当に驚き。ゴトンゴトンとレールのつなぎ目をひろう音、汽笛、流れる風景。気がつくと、車窓から見えるミニチュアが本当の景観のように思えてくる。とにかく旅好き、列車好きにはたまらなく魅力的なアトラクション。

鉄道好きで、少年時代には列車に乗って新聞を売ったこともあり、また作品に頻繁に鉄道を登場させ、さらには自宅にミニトレインを敷き得意になって訪問客(シュールレアリズムの画家ダリも客の一人だった)をもてなして、挙げ句の果てにはディズニーランドにいくつもの鉄道アトラクションを設置させたウォルトの鉄道への愛着が強く感じられる。

ディズニー精神の基本「物語性」を体感できる

また、その「物語性」もすばらしい。ディズニーランドはウォルトが指示したように、ディズニーランドのアトラクションは本来はスリルなどではなく、物語で魅せるというのが基本なのだが、これはその代表的な存在といえる。とはいっても、物語が陳腐ではダメ。これは物語のシーンをつぎはぎしたものではあるが、それぞれの物語がシーンが現れるごとに、リアルによみがえってくるという風に出来ている。そしてこの楽しさはディズニーに精通していればいるほど倍加するというものだろう。子どもは何も知らなくても旅の楽しさを、大人は、その奥行きの深さから様々なイマジネーションを浮かべることの出来る本当にすばらしいアトラクションだ。併設されているアトラクション・ストーリーブック・ボートも同じ展示物を船に乗って回るが、こちらは解説付き。イメージを強制されるのでちょっと解説はうるさいかな?と感じないでもないのと、スモール・ワールドののような普通のアトラクションのボートとライドが変わらないので旅情が感じられないのとで、こちらは一般のアトラクションの域を出ていない。子どもにディズニーのことを教えるのにはいいのかもしれないが……。

このアトラクション、出来れば昼間と夜の二度乗って欲しい。全く違った旅情が味わえる。開園時からあるケイシーズ・サーカス・トレイン、ここにはウォルトの魂が宿っている。

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今回からはロス・ディズニーランドでのアトラクション詳細について評価してみたい

リメンバー……ドリームズ・カム・トゥルー

本当に、最高のショー

実は、これを見るためにここに来た。五十周年を記念した花火なのだが……予想通り、これまで見たディズニーのすべてのショーの中で最高にすばらしいものだった。これに匹敵するのはワンマンズ・ドリーム(但し、現在上映されているリズム・オンの方ではない)くらいしかないだろう。ただし、このすばらしさをわかるためにはディズニーとディズニーランドについての相当量の知識を必要とする。

ディズニーチャンネルのプログラム「ディズニー・パラダイス」でディズニーランドの五十周年記念特集を放送したときのこと。進行役の森公美子、石井光則とゲストの西村知美、Take2の深沢浩之などがロスでディズニーランドの様々なアトラクションやショーを体験するというかたちで五十周年を紹介するという構成だった。そして、このショーの時のこと。テレビ映像そのものは17分に及ぶショー全体のほんの一部しか魅せることはなかった。その代わり、見終わった後のタレントたちを映したのだ。その時、西村知美は涙し、森公美子に至っては号泣していた。そして深沢浩之もまた感動していたのだが、彼の感動の理由がおもしろかった。深沢曰く「なぜ、このショーを見て森さんが、なぜこんなに泣くのかわからない。けれども、森さんをこんなに泣かすことの出来るショーの力に感動した」

深沢のコメントは正鵠を射ている。つまりこうだ。深沢が泣けないのは、このショーに対する知識、つまりディズニー世界に対する知識があまりないからであり、一方、森公美子が号泣するのはショーの意味をわかりすぎるくらいわかってしまっているからだ。そして、深沢は無意識にそのことがわかったので、このショーの力に感動したのだ。

ショーの下りはだいたい次のようになる。先ず元にファンファーレとともに眠れる森の白の背後からレーザー光線がまっすぐ天に向かってはなたれる。次にジュリー・アンドリュースによるディズニーランドの始まりの解説ナレーションが流れる。そして小さな花火とともに子どもの歌うwishesの声が。続いてwishというセリフが入ったディズニー作品の有名なセリフが次々と流される、ピノキオのI wish I could be a real boy(僕は本当の人間になりたい)、シンデレラのI wish someday my prince will come、ピーターパンのI wish I never grow up,and go to Neverland、アラジンのJinny! I wish you could be freedom(ジニー。君を自由にする)などなど。セリフが終わったところで再びファンファーレ。そしてなんとキャッスルの上空をティンカーベルがフライングしながら登場し(上空をティンク役がワイヤーでつるされていて、空中を所狭しと飛び回る!)、pixie dustを振りかけると、花火が一斉に花開く。さらにここでウォルトのディズニーランド開園時のメッセージが流れるのだ。This is a happy place, Disneyland.Welcome……。そう、ディズニーファンにはおなじみのあのセリフが。

ディズニー通であればあるほど、泣ける!

もうここまでで、ディズニーをよく知っている人なら涙腺はとどまること知らなくなる。メリーポピンズ=アンドリュースのウォルトへの愛情を込めたセリフ、映画の名シーンの数々。まずこれだけで頭の中が「萌え要素」で一杯になる。そしてとどめがその後のティンク→花火→ウォルトの声と続く展開。これは?アメリカテレビ局abc(現在はディズニー・カンパニー所有)で五十年代半ばから六十年代半ばまで放映されていた番組Disneylandの最初のシーンそのものを、映像ではなく、実際に再現してしまったものだからだ。

それ以降はディズニーランドのアトラクションがアトモスフィア(アトラクション内で流れている音楽や効果音)と花火で次々と再現される。子どもの頃からディズニーに親しんでいる人間には音と花火の連動の意味、ここでなぜこの花火が、この音が使われるのか、さらには全体の構成が、自分の経験全体から即座に理解できるようになっているのだ。森公美子はまさにその典型だったわけで、これじゃあ泣かないわけがない。恥ずかしながら、私も泣いてしまいました。
ただし、これは単にディズニーおたく向けと言うだけではなく、一つの作品として高く評価できる。とにかくディズニー好きなら本当に泣けるイベントなのだ。ちなみにこのショーは今年12月まで続けられる。ディズニーファン必見!

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